死んだハチを口に

 
 昨年10月11日午前8時10分ごろ、大津市の中学2年生の男子生徒(当時14歳)が自宅マンションの14階から飛び降り、まもなく死亡した。男子生徒は殴打や死んだハチを食べさせられるなど、同級生から日常的ないじめを受けていた。この問題を受け、男子生徒の両親が大津市、いじめていた同級生3人の両親らを相手取り、損害賠償を求めて提訴した。提訴に対して大津市教育委員会は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい。今後、内容を踏まえて適正に対処したい」とコメントした。

 訴状によると、男子生徒はヘッドロックをかけられる、廊下でこけさせられるなどの日常的な暴力を受けていた。いじめはエスカレートし、男子生徒の目の前で成績表を破られる、チョークの粉をかばんにかけられる、馬乗りになられてペンで顔に落書きされる、毎日のようにズボンを膝まで下ろされる、などのいじめが見られるようになった。

手足拘束に無抵抗


 体育祭の時期にはさらにエスカレート。男子生徒はハチマキで手首を拘束され、口、スネにガムテープを張り付けられ剥がされる、という行為が何度もくり返された。これらの行為に男子生徒は無抵抗であった。さらにその後、男子生徒は羽交い絞めにされ、死んだハチを強引に口にねじ込まれた。その後も、一方的に殴られる、自宅の部屋をめちゃくちゃに荒らされたあと財布を取られ、返還を求めるとさらに暴行を加えられるといった一方的ないじめがくり返された。

 こうしたいじめを受け、男子生徒は10月10日、同級生に対し「ぼく死にます」と電話で伝え、翌日、自宅マンションから飛び降りた。
 
 死後も同級生は、男子生徒に対し「根性なしだな」「ちょうど死んでほしかった」と発言し、男子生徒の写真に画びょうを刺すなどの言動が見られた。
 
 学校側は、廊下でのいじめや羽交い絞めにされ蜂を食べさせられているところなどを目視していた。しかし、ハチを食べさせられた場面を見ていた教員は「笑っていただけだった」とのこと。男子生徒の自殺3日前、ほかの生徒から「いじめられているんちゃう?」と報告を受けた担任は、男子生徒に直接、事情を聴取。しかし男子生徒が否定したため、なんの対策もなかった。
 
 いじめへの対応については、これまでの裁判判決のなかで「事情を聴取しても、被害生徒すら事実を否定するものであり、それのみからいじめがないと判断するのは愚かの極み」と指摘されている(07年3月28日東京高裁)。