不登校新聞

416号 2015/8/15

なにもしないということ 田口ランディ

2015年08月11日 12:28 by kito-shin
2015年08月11日 12:28 by kito-shin


親は笑っていればヨシ!vol.6


 不登校やひきこもりの家族、友人に対して「なんとかしてあげたい」と思ってしまうのが凡人のいい人。つまり、私だった。
 
 兄がひきこもり、父がアルコール依存症だったので、この手の相談を受けがちだし、相談されるとつい背負い込んでしまう。
 
 たいがいの場合「相談」という名目のグチで、当事者やその親はたんに話を聞いてほしいだけなのだが、それ以上に「相談されたのだからなにかしなければ」と思ってしまうのが、私のビョーキ。なにもしないではいられない。
 
 「じつは……」と、話を切り出されると、もう心がそわそわしている。なにかいいアドバイスをして、相手の役に立たなければ。どうにかしていい方向に向けてあげなければ、と条件反射してしまう。
 
「子どもが、家に閉じこもって学校に行かなくて……」
 
「そうなんですか、うんうん」
 
 内心(あなたが自立すればいいんですよ)と思う。それでつい「ああしたら、こうしたら」と、話の途中で口をはさみ、えらそうに助言をしてしまう。
 
 相手が「わかってはいるんですけど……」と、モゾモゾと弱気に自己弁護を始めると(わかっているなら、やりなさいよ)とムカっときたり。
 
 ああもう、ほんとうに、自分はどうしようもない傲慢なアホだ、と思う。
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