連載「子ども若者に関する精神医学の基礎」

 「投薬治療」は一般的に「対症療法」と「根治療法」に大別されます。たとえば感冒の場合、鼻水や咳といった症状の除去を目的として服用する場合が「対症療法」。ただ、これで根本の原因である感冒のウィルスは、まったく影響を受けないまま活動を続けます。一方、抗ウィルス剤のように、ウィルスそのものを死滅させるのが「根治療法」。

 こんなふうに説明されると私たちはスッと納得してしまいがちです。しかし、ちょっと視点を変えて考えてみましょう。「私たち人間はウィルスやバイ菌より弱いのだろうか」、「インフルエンザにかかる人もいればそうでない人もいる。その差がなぜ生まれるのか」そんな疑問を持ってみようということです。

 いまの医学では、病気の原因をミクロに求め、症状の除去だけを目的にした治療を行なうのが主流です。その代表が薬。というわけで薬を考えるうえで、「症状を取りのぞく対症療法が、はたしてよいことなのか」というところから出発したいと思います。たとえば、感冒による鼻水をなぜ薬でとめなければならないのか。鼻水止めの主成分である「抗ヒスタミン剤」は鼻水の分泌を抑制するわけですが、これって感冒を治すうえでよいことなのでしょうか。生き物は、海のなかで生まれました。肉体のまわりをなんらかの液体で囲まれている状況が一番いいわけで、鼻水はまさに鼻を潤して守る液体です。乾燥する冬場に感冒にかかりやすいのは、鼻水が乾き、鼻粘膜が保湿されないからです。つまり、鼻水の分泌を抑える薬は、本当は抵抗力を弱める薬にほかなりません。



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