林試の森クリニック院長・精神科医 石川憲彦さん

連載「子ども若者に関する精神医学の基礎」

 「自閉症」という診断が日本に導入されたのは、1960年代。その数年後から、「おんぶ・抱っこ療法」が、大流行しました。今では信じられないようなひどい治療方法でしたが、私も医者になりたてのころ、危うく信用しかけたものです。
 
 内容は、親のスキンシップが足りないと、子どもにきちんと愛情が伝わらず、孤立した子どもが自閉的になる。この「アタッチメント(愛着)障害」仮説に従って、「真っ暗な静かな部屋で子どもを背中に背負って生活することが治療だ」というものでした。
 
 問題は、この方法がいつの時代にもよく見かける、怪しげな民間療法として登場したものではないこと。多くの医療機関で推奨され、まじめに実践して疲れ果てる親子が、続出したことです。


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