近代以降に出現した学校という組織は、様々な不自然さを内包しています。さらに、歴史的な経緯などの要因から日本の学校は独特な特徴や問題を含んでいますし、個々の学校や学級にどのような教員や児童生徒がいるかによって、耐え難いほどの辛さや苦しさが生まれることもあります。そうした辛さや苦しさを訴える声がしばしば黙殺されてしまうということ自体が、大きな問題です。辛い人、苦しい人は、できればその状態を、可能な限り多様な対象に訴えてもらいたいと思います。その対象としては保護者、教員、学校の管理職、教育委員会、自治体の相談窓口、医療機関、弁護士などが挙げられます。辛さや苦しさを明るみに出し、個人で抱え込むのではない対処や改善策を講じていかなければならないと思うからです。
でももし、訴えかけることが難しいのであれば、学校に行かないという選択肢も考えてもらいたいです。一般の学校以外の場やルートも広がってきていますから、どうか自分でも調べてみたり、同じような経験をしてきた人たちの助けを借りたりして、生きていきやすい場やルートを探してみてください。自分自身を否定することでは何も解決になりません。あなたが心から笑っていたり、元気に動き回っていたりするときのことを思い出して/イメージしてください。それがあなたの本来の姿であり、それを邪魔してしまっている状況や環境のほうを変えていく必要があります。
どうか希望を失わないでください。心からお願いします。(社会学者・本田由紀)
625号 2024/5/1
「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…
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