不登校新聞

351号(2012.12.1)

不登校インタビュー 氏家優希 18歳

2014年05月14日 14:20 by koguma
2014年05月14日 14:20 by koguma

不登校体験、いじめのトラウマ
不安が僕のスタート地点

 今回の子どもインタビューは、フリースクール「東京シューレ」に通う氏家優希さん。不登校のきっかけやいじめの体験などをうかがった。

――不登校のきっかけは?
 きっかけはいじめで、小学生のころからシカトされたり、バイ菌扱いされたり、蹴られたりしてて、中学生になっても続きました。
 学校に行かなくなったのは中学1年生の秋です。お弁当を好きな子どうしで食べるわけですが、僕はずっと一人で食べてたんです。見かねた担任がほかのグループにいれようとするけど、あきらかに拒絶する雰囲気があって。そのとき、ふと思ったんです。「誰にも必要とされない状況が3年も続くなら時間のムダじゃないか」って。


――ご両親の反応は?

 「お腹が痛い」っていう理由で最初は休めたんだけど長く通用するわけもなく、5日目で母親の堪忍袋の緒が切れました(笑)。そこで初めて、中学校でのことを打ち明けたんです。僕は母子家庭で、母親は小学校時代のいじめを知っていたから、それから数週間は家にいることを許してくれましたが、ときどきヒステリックになるときもあって。

 それからは父方の祖父母の家で暮らすようになりました。祖父母はいろんなところに連れて行ってくれたし、本当によくしてくれたけど、いつも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。学校に行ってれば苦労かけなくて済むことはわかっている。けれど、行けばいじめられるとわかっている学校には二度と行きたくない。どうしたらいいのかわからない。当時は毎日、「学校に行くか死ぬか」の二択で悩んでいました。でも、祖父母の家で自殺なんて、さらに迷惑をかけることになるからそれもできず、すごくつらかったです。不登校をしてからフリースクールに入るまでの5カ月間はそんな毎日でした。

――フリースクールで何か変わりましたか?
 とくにないかな。というのも、入る前も入った直後も、そしていまも不安でいっぱいなんです。とくに同年齢の人たちは高認取ったり、大学に行ったり、自分の進路を決める人たちもいて、「自分は本当にこれでいいのかな」って焦ります。
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