
今回は、06年11月3日、東京シューレ新宿において行われた集会「強まる登校圧力~学校システムから逃れられない大人~」(主催・不登校新聞社)の抄録を掲載する。講師に内田良子さんをお招きし、昨今のいじめ自殺問題から幼児期における登校圧力問題など、具体例を交えお話しいただいた。
「いじめ」で命を絶つ子どもたちの報道にふれて、「強まる登校圧力」が子どもたちを追い込んでいると、この間の事件でしみじみ考えさせられました。
福岡県で、中学2年生の男子生徒が自殺する事件がありました。小学校5年生のころからいじめられていて、中学1年生のころから「学校を休みたい」と話しており、親も教師も本人の気持ちに気づいていたにもかかわらず、本人は学校に通いつづけました。
このように、「いじめ」で命を絶つ子どもたちは、「休みたい」「学校に行くのがつらい」と周囲に訴えながらも、何年間も学校に通いつづけているという実態があります。岐阜県では、中学2年生の女子生徒が部活でのいじめを訴えて、自殺する事件がありました。福岡と岐阜で起きた事件を詳細に見ていくと、いまの「いじめ」における2つの特徴が見えてきます。1つは、いじめをしていた同じ子ども集団が自殺者が出たあとも、新たに標的を見つけ、「いじめ」は継続していくということ。2つ目に、部活が「いじめ」の舞台になりやすいということです。
近年、部活での「いじめ」はかなり深刻です。勝利することを目的にする部活という狭い人間関係のなかで発生するストレスは、集団内の弱い立場の子どもに向けられやすいのです。ターゲットになる子どもはそれでも休まずに行きつづけますが、体は拒否反応を示すので、みずから学校に行くことが徐々にできなくなるのです。
「親が送ってくれれば学校に行ける」ということを、不登校の子どもたちがよく言います。しかし、そのときはすでに、自分の意志と力では学校に行くことができない状態なのです。それほどつらい思いをしながら、なぜ日本の子どもたちは学校に通い続けるのでしょうか。
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