生きづらさをメディアに オルタナティブな社会性へ
この連載は、私自身、居場所に関わりながら困難にぶつかるなかで、なんとか道筋を見出したいと、いろんな方にお話をうかがうことで始まった。大ざっぱに出発点の問題意識を言えば、次のようなことだった。
人がおたがいさまで支え合うような関係がやせ細ってしまった結果、精神医療やカウンセリングなどへのニーズは高まっている。
しかし、専門家に判断をゆだねるほど、さらに関係は衰え、苦しくなっている。そうしたなか、暴発のようなかたちで、苦しさが表出されることが増え、関係が破綻してしまうことが増えた。あるいは、自傷行為のように、自分に向かって暴発してしまうことも多々ある。こうした事態をどう捉え、どう考えていけばよいのか……。結論から言えば、あたりまえのことだが、妙案はない。ただ、あまり語られずに潜っていた問題を言葉にして可視化することは、ある程度できたように私は思う。インタビューに応じてくださった方々には、心から感謝したい。とくに現場に関わる西野博之さんや木村衣月子さんは、ギリギリのところで語ってくださったように思う。プライバシーの問題もあって、掲載できなかったエピソードもある。語り得た部分の背景には、語り得なかったものがたくさんある。
メンヘル時代の居場所論 登場者一覧
①西野博之さん(たまりば)
「関わり続けるために」
②木村衣月子さん(YCスタジオ)
「日常に寄り添うこと」
③高岡健さん(精神科医)
「"いいかげん”を目標に」
④中島浩籌さん(法政大学)
「広がる予防的まなざし」
⑤野田彩花さん(当事者)
「病むってどういうこと?」
⑥芹沢俊介さん(評論家)
「子どもの"ある”が崩れてる」
怪獣゙ウラミン゙が暴れている…
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