不登校新聞

425号 2016/1/1

田口ランディ「いまだけ楽しめれば、あなたは大丈夫」

2015年12月24日 18:03 by kito-shin


 連載「親は笑っていればヨシ」(本紙411号~422号)でエッセイを執筆した作家・田口ランディさん。今回は、不登校・ひきこもりの当事者が田口さんにインタビュー。当事者の悩みにどう答えたのだろうか。

リナ(18歳) 今日はよろしくお願いします。さっそくですが「進路」について聞かせてください。私は数年前、学校をやめてひきこもっていました。その間で経営を学びたいと思い、この春から大学に進む予定です。ところが大学の説明会に行くと、かならずと言っていいほど「卒業後はどうしたいですか?」と聞かれます。私はただ勉強してみたいだけなんですが、そんなに将来のことを考えないといけないんでしょうか?

田口ランディ(以下・田口) 本当のことを教えますが、いいですか?

リナ はい。

田口 目的を持って行動すれば成功する、というのはウソです。そんなことはありません。

つまらないことはやらなくていい


 「善悪」というものは判別がつきづらいものです。良い人生、悪い人生なんて一口には言えないし、出来事ひとつとっても「善悪」は見方によって変わってしまう。けれども自分にとって「おもしろいもの」と「つまらないもの」はハッキリしています。つまり世の中には「おもしろいもの」と「つまらないもの」しかありません。「つまらないこと」を積み重ねるほど成功の道からは遠くなるんです。つまらないことは楽しくない、ガマンできないし、がんばれない。

 つまらない人生にガマンしている人たちが「将来の目的を持たなきゃダメ」みたいなことを言うんですよ。大事なのは、つまらないことはしないこと、おもしろいことだけしていれば大丈夫です。

リナ ホントですか?

田口 ホントです。でもね、おもしろいことをするって、案外と難しいし、なかなかできる人っていないのよ。おもしろいことを感じるためには、日々の小さな積み重ねが重要です。つい最近、うちの娘にも同じ話をしました、「あなたは毎日、おもしろいことをしなさい」って。

 娘は大学に行って、つまらないことばっかりさせられていたので、頭の中がつまらないものだらけになっちゃったんです。「なにがおもしろいかわからない」「おもしろいものが見つからない」と言ってました。でも、これって娘だけじゃなくて若い人の多くが言うことなんです。だから、私は「いいかい、どでかいおもしろいものは、急に降ってくるわけじゃあないんだよ」と。毎日毎日、なんだっていいから、「おもしろいなあ」「楽しいなあ」と思ったことを選んでいく。その日々の積み重ねが、自分の感性を育てていくのね。好きなお茶を淹れたり、好きなお花を育てたり、寄り道したり、好きなお店を見たり。「もっと人生のためになることを」なんて思わなくていい。好きを選びつづけると、そのうち感性が育って、気がついたら夢中になれるものや使命を感じるものに出会えます。

 しかも、それによって誰かと争うこともありません。おもしろいと思うものはみんなそれぞれにちがうからです。だから「がまんしろ」とか「まともになれ」とか、そういうつまらないことを言う人には言いたいだけ言わせといて、あなたは人生を楽しんで、おもしろいことだけをしていれば大丈夫です。「そんな生っちょろい考えで人生がうまくいくわけない」と言う人はいるでしょう。その人たちは「思い込み」をしているんです。私はいろんな体験をし、作家として多くの人と会って、わかったのです。「好き」という感情を持続することが「幸せ」なのだ……と。


人間は見た目が100%です


ユウ(27歳) お話を聞いていて私もそんなふうに思えればと思ったんですが、私はどうしても思い込みが激しくて「なんて自分はダメなんだろう」って思ってしまうんですが。
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