不登校新聞

430号 2016/3/15

確保法条文案 全文(2016年3月8日時点)

2016年07月21日 12:50 by kito-shin
2016年07月21日 12:50 by kito-shin

立法チームによる検討会のようす


確保法条文案全文(2016年3月8日時点)

2016年3月4日、フリースクール、夜間中学校の議員連盟合同総会が開かれ、条文案が提示された。その後、2016年3月8日に第19回立法チームが開かれ、修正が加わり、3月11日の合同総会で提示される。以下、法案は3月8日時点のもの。

第一章 総則
第一条 (目的)
 この法律は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とする。

第二条 (定義)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 教育機会の確保等
 不登校児童生徒に対する教育の機会の確保、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等をいう。

二 不登校児童生徒
 相当の期間学校を欠席する児童生徒(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十八条に規定する学齢児童又は学齢生徒をいう。以下同じ。)のうち、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学困難な状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められる者をいう。

三 学校
 学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。

第三条 (基本理念)
 教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう学校における環境の確保が図られるようにすること。

二 不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、不登校児童生徒の個別の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。

三 不登校児童生徒が安心して普通教育を十分に受けられるよう学校における環境を整備すること。

四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。

五 国、地方公共団体、教育機会の確保等に資する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。

第四条 (国の責務)
 国は、前条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

第五条 (地方公共団体の責務)
 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第六条 (財政上の措置等)
 国及び地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
第二章 基本指針
第七条
一 文部科学大臣は、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(以下この条において「基本指針」という。)を定めるものとする。

二 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
1 教育機会の確保等に関する基本的な事項
2 不登校児童生徒に対する教育機会の確保等に関する事項
3 夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等に関する事項
4 その他教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するために必要な事項

四 文部科学大臣は、基本指針を作成し、又は基本指針を変更しようとするときは、あらかじめ、地方公共団体及び教育機会の確保等に資する活動を行う民間の団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

五 文部科学大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章 不登校児童生徒に対する教育機会の確保等
第八条(学校における取組への支援)
 国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための指導、学校生活上の困難を有する児童生徒の個別の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
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