自公与党のいじめ防止法案を一読してわかるのは、学校でのいじめを、たんに子どもの問題行動としていることだ。子どもが子どもをいじめるという現象の表面のみを見ている。

 それは法案4条の「児童等はいじめを行ってはならない」との規定に端的に表されている。法案は「児童等」は学校に在籍する児童、生徒、「いじめ」は児童などに対するいじめに限定しているので、教師などによるいじめは禁止の対象に含まれない。

 そして、いじめをした児童等に対する懲戒や出席停止などの不利益処分を定めている。子どもを直接の名宛人にして、禁止違反に対し不利益処分を定める「子ども取締法」は民主主義国の子どもに関する法律には前例がない。未成年者保護の飲酒、喫煙禁止法も未成年者に酒やタバコを提供などをした者だけが罰せられる。

法案は学校の秩序維持を目的にした子どもへの管理、取り締り強化にすぎず、いじめは学校という教育装置が発生させる問題だとの基本的視点を欠いているので、問題解決につながらない。

こんな法案は、さきの教育再生実行会議の道徳教育を強調したいじめ防止提言とも合わせ読めば、かつて戦争への道で人々を統制した「治安維持法」を、学校を舞台に新たな装いで子どもに試みられるとも見えないか? (多田元)