内田良子さん
1993年『子どもたちが語る登校拒否から~402人のメッセージ~』が刊行された。まだ、不登校について当事者が語りづらかったときに、これだけ多くの声を掲載したため、注目された。この本を編集したのは内田良子さん、石川憲彦さん、山下英三郎さんの3名。現在も不登校に関わり続けている。いま不登校が置かれている現状は、1993年と比べあきらかに変わった。不登校はどう変わったのだろうか、あらためてお三方に話をうかがった。
――不登校との関わりはいつごろからですか?
私は、1973年から佼成病院の心理室でカウンセラーをしています。そこに、身体の不調を訴えてくるけれど、身体的な病気ではない子どもたちがポツポツ来ていた。そういう子どもや親御さんの話を聞いていると、どうも学校がある日に具合が悪くなって、学校を休むと症状が消える。そういう傾向が見えてきて「これは学校が変だぞ」と実感するようになりました。実際、学校を休むことを勧めていると、こじれずにすむ。
当時は情報も少なかったし、孤立状況だった親や子どもが出会いを求めていたので、自宅で集まりを持ち始めました。それが、80年代前半のころですね。この集まりは、いまの「モモの部屋」につながっています。
それと並行して、ずっと保健所の心理相談員の仕事をしています。近年は1歳児健診と3歳児健診を受け持っていますが、いま、幼稚園や保育園の子どもの登園拒否がすごく多いですね。
集団と個のミスマッチ
――不登校についてはどう思われますか?
一番大きいのは、個と集団とのミスマッチだと思います。
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