不登校新聞

316号(2011.6.15)

論説「被災地が語るもの」

2013年12月20日 17:59 by kito-shin
2013年12月20日 17:59 by kito-shin
 
 未曾有の東日本大震災。3月11日から時がすっかり変わった気がする。東北の被災地から遠く離れた東京でさえ、人生で出会ったことのない強い揺れ、延々と続く余震、計画停電、不規則な交通機関、生活物資の欠乏、放射能汚染への不安などに直面し、日常生活に戻るまではなかなか大変だった。いま、やっと(地域にもよるが)ふだんの生活ができるありがたさを感じているところである。

 ところが、被災地には日常生活が戻ってきてはいない。いや、ともに暮らしていた人が一瞬にして亡くなられ、住むところも、働き場所も、日常使っていた道具も何もないという人も多い。いのちが助かった人たちも、身ひとつで生きておられる。このすさまじい状況で、どうやったらふだんの暮らしが戻るというのだろう。さらに言えば、不登校・ひきこもりの子ども・若者は、いま、避難所でよりつらい思いをしていないだろうか。

 私は東京シューレのスタッフ、シューレ大の学生、本紙編集部・石井の計14人で、5月連休中の4日間、仙台と石巻に入った。

 被災地の状況、子どもの状況、不登校・ひきこもりの状況を把握し、できる支援を考えたかったからだ。
 
 ただ、それは、現地で人々のニーズに応えるボランティア活動をやりながら信頼関係をつくり、見えてくることだろうとも考えた。そこで1回目は現地の人がやってほしい仕事に、とにかく応える。そして、見える範囲、聞ける範囲で状況を把握することにした。
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