法務省は3月11日、2010年における「人権侵犯事件」の状況概要を発表した。それによると、「学校におけるいじめに関する人権侵犯事件」として同省の人権擁護機関が新たに救済手続きを開始した件数が2714件と、前年より930件(51・9%)増加し、過去最多となったことがわかった。
今回の発表で特徴的なのは、学校に関わる事案の急増だ。なかでも、「学校におけるいじめに関する人権侵犯事件数」は昨年の1・5倍増となった。これはいじめに関して、学校側の対応が不適切であるとして救済手続きが取られた件数であり、いじめの加害児童・生徒を相手方とするものではない。
また、「教職員における人権侵犯事件数」は1159件と、前年より206件増加し(前年比21・6%増)、同じく過去最多となった。このうち、体罰に関する事案は337件と、前年より69件増加(前年比25・7%増)している。過去最多を更新したのはこれだけではない。「児童に対する暴行・虐待」に関しては771件と、5年前と比べて1・5倍増加した。また社会福祉施設における人権侵犯事件数も193件(前年比26・1%増)と、過去最多となった。そのうち、児童福祉施設職員によるものが45件と、前年に比べ3倍に増加した。
子どもの人権侵犯をめぐっては、被害者である子ども自身が周囲に訴えづらい、またその手立てを知らないなどの理由により、周囲がそのSOSを察知しづらい現実がある。そこで、同省ではいじめや児童虐待などの人権侵害に関する電話相談の場として「子ども人権110番」を全国50の法務局などに設けている。2010年の利用件数は2万7710件と、過去最多。そのうち、「いじめ」に関する相談は3447件だった。「子どもの人権110番」は利便性向上のため、2007年よりフリーダイヤル化されている。電話番号は0120・007・110。
読者コメント