「無登校状態」全国1万人、文科省推計
学校にほとんど通っていない者(年間201日以上欠席 ※)は全国で1万2000人いる、との推計を文科省が明らかにした。
「フリースクール等検討会議」中間報告において、文科省は東京都(2015年度)と神奈川県(2009年度)で調査された結果を発表。東京都が調査したところ、都内の全不登校児童生徒の10%が学校を年間201日以上、欠席していた。文科省はこの結果をもとにほとんど学校を欠席した、言わば「無登校状態」の児童生徒が全国で約1万2000人がいると推計した。
そもそも不登校とは、年間30日以上の欠席者のうち、病気や金銭的な理由以外で休む場合を指し、直近では12万3000人いる。文科省は「実態把握を進めるため」、1966年より始まった不登校の調査を今秋あらため「出席日数0日」の生徒数の実数を発表する。
しかし「遅刻」「早退」「保健室登校」「別室登校」や、場合によっては「校門タッチ」(校門に触って帰ること)でも、「出席」としてみなす場合があるため、何人が「無登校状態」としてカウントされるのか、今度の調査結果に注目が集まっている。(本紙編集長・石井志昂)
※年間出席日数は学校によって異なるが、おおむね180日~200日以上。
記者の目 無登校状態1万人、 100億円の予算空振り
学校に行く・行かないに関わらず、一人あたり、小学生だと年間94万円、中学生だと年間107万円の学校運営費が公費によって支払われている(平成27年度地方教育費調査)。つまり、「無登校状態1万人(推計)」というのは年間100億円以上の公費が空振りに終わったことを意味する。
なぜ文科省は「無登校状態」の数を発表するに至ったのだろうか。調査改変について文科省は「実態把握のため」と説明するにとどめている。ところが、「無登校」の調査結果に影響を受けると思われるのが、今秋の臨時国会で審議される「教育機会確保法案」である。同法案は、当初より「学校にほとんど通っていない子ども 数千人~1万人(推計)」にも着目して新制度の必要性を訴えていた。この「数千人~1万人(推計)」の根拠として実数が出ることは審議や予算にも影響が出てくるだろう。
私自身、中学3年生時は、ほぼ全欠の不登校であった。書類をもらいに2度ほど学校に「寄った」ことはあるが、授業や指導を受けた記憶はない。
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