参院選に向けて、不登校新聞では各政党に「ひきこもり政策」についてのアンケートを実施。回答を拒否した維新の会以外、7政党が回答。どの政党も、おおむね「支援・相談体制の充実」を指摘した。
自民は「キャリア教育・職業教育推進法の制定」を政策の中心に据え、「ドロップアウト予防策」としてアウトリーチを強化していくと回答。みどりの風は「いじめと同様、問題から逃げずに立ち向かえるような力を一人ひとりがつけられるようにする仕組みが必要」だと回答した。
より踏み込んでひきこもりの背景を指摘したのは、みんな、共産。共産は、そもそも「弱肉強食の社会が人々に挫折感を与えてきた」と指摘。みんなは雇用形態の変化でひきこもりが目立ってきたのは「自然なこと」だと回答した。
各党の回答全文
質問 ひきこもりについての見解と、もっとも力を入れるべき政策は?
(自民)小学校から大学までインターンシップ・課題解決型授業・ビジネスコンテストなどの恒久的な取り組みを通し、主体的な生き方・働き方を選択できるキャリア教育の体制を充実させます。また、ドロップアウト予防策として、ニート予備軍に対して働きかける「アウトリーチ」を強化し、教育機関と若者サポートステーションの連携や中退者などに関する情報共有をすすめるとともに、幅広い相談に応じる体制を整備し、ドロップアウトの初期段階への集中的な支援を行ないます。さらに「キャリア教育・職業教育推進法(仮称)」の制定に取り組み、日本全体でキャリア教育・職業教育を推進する体制を整備します。
(公明)ひきこもりとなる理由や背景は多様です。ひきこもり支援は早期発見や相談事業などの役割を担う「ひきこもり地域支援センター」の設置や居場所づくり、就労支援、学習支援など総合的な施策の実施が必要です。また、ひきこもりが長期にわたる若者の就労に対して、サポートを含む「中間的な就労」が可能となる雇用の受け皿づくりも必要だと考えています。
(民主)各都道府県、指定都市に、ひきこもり本人や家族などからの相談などの支援を行なう「ひきこもり地域支援センター」を整備し、学校や医療機関などと連携し、相談・支援を行なっています。こうした経緯も踏まえて所要の措置をさらに検討していきます。
(みんな)ひきこもりが増えているのは問題であるが、農業や自営業が多かった時代は、家庭内で働けるのでひきこもりが目立たず、いまの社会ではひきこもりの発生率が上がるのは当然である。そういう前提に立ってNPOや行政のサービスを充実させ、社会参加しやすい環境を整備する必要がある。NPOへの支援策の拡充、在宅勤務の環境整備などを行なうことが必要。
(共産)ひきこもりが広がった背景には、競争的な教育や不安定雇用の拡大など自民党型の政治がすすめてきた「弱肉強食の社会」が、人々に挫折感を与え、かつそこからの快復を支える人と人とのつながりを希薄にしてきたことがあります。若者を使い捨てにするような働かせ方をあらため、就労支援、安定雇用、生活保護などの社会保障を充実させ、「だれでも安心して生きられる」社会への転換をはかります。
(社民)自分の世界に閉じこもりたくなる気持ちは理解できますが、ひきこもった人を人の連関の中に呼び戻す働きかけが弱くなっていることが、事態を悪化させているように思います。単純な処方箋はありませんが、切り捨てるのでなく、無理に引き出そうとするのでもなく、当事者と同伴するねばり強い取り組みが必要であり、それを支える制度が求められていると考えます。
(みどり)いじめについてで述べたような生きる力、問題から逃げずに立ち向かえるような力を一人ひとりがつけられるようにすること、第三者の大人(親や教師ではなく)が相談にのってあげられるような仕組みをつくることが必要です。自信を取り戻す自己肯定感をもたせるカウンセリングの実施が求められます。
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