不登校新聞

444号 2016/10/15

初のフリースクール「給付型奨学金」、背景に公費格差

2016年10月13日 16:20 by kito-shin
2016年10月13日 16:20 by kito-shin

三重シューレのふだんのようす

 全国で初めてフリースクールを対象にした給付型奨学金が、三重県津市で始まった。返済の必要のない「給付型奨学金」を創設したのは三重県遊技業協同組合。経済的な理由により三重シューレヘの入会が困難な家庭に対し、2年間で総額71万円を給付する。「三重シューレ」代表・石山佳秀さんは「たいへん温かい制度で心からうれしい。経済的な問題は創設当初から抱えていた課題の一つだった」と語る。三重シューレの開設は2003年、10年越しの思いであった。

 全国初の給付型奨学金が創設されたのには二つの背景がある。一つは三重県遊技業協同組合が、三重シューレと同じビルに事務所を構えており、日常的に子どもたちの成長を目の当たりにしてきたこと。もう一つは、フリースクールに対する公費格差である。
 
 そもそもフリースクールに通う子どもの家庭は公費格差を強いられている。公立中学校に通う場合は1人あたり年間105万円、私立中学校に通う場合は年間28万円が、学校に対して支払われている。これに対し、フリースクールへの公的な支援は原則0円。文科省の調査によれば月額平均3万3000円を家庭が負担する。
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