不登校の理由、本人ではなくなぜ教職員が回答を?
問題行動調査の調査票の注意書きには「児童生徒の状況を最も把握することができる教職員が(中略)状況把握を十分に行なったうえで判断すること」と書かれており、不登校理由は教職員が判断するよう求められてきた。文科省は今年度の調査票から「本人や保護者の意向を踏まえ」と付記するなど、注意書きを一部変更した。
しかし、本紙が取材したところ、昨年から不登校している中学3年生のある生徒は「今年度も学校から意向を確認されたことはなかった」と語った。また「自分の不登校理由が活かされるならば調査に協力したい」とも話している。なお、本紙取材では問題行動調査のために不登校理由を聞かれた不登校経験者、親はいなかった。
また、複数のフリースクールから、ほぼ毎日通っている子に対しても「学校から『不登校理由』について聞かれたり、説明があったりしたことはない」と返答があった。
教職員の回答、どんな問題が起きている?
2015年、岩手県矢巾町で中学2年生男子が、列車に飛び込み自殺を図った。男子生徒は再三にわたって教職員にいじめを訴えていたが、矢巾町は問題行動調査において「いじめはゼロ件」と報告。このことを受け、文科省は各教育委員会に再調査を求めたところ、いじめは当初の集計より全国で3万件増加した。
この事件だけでなく、いじめ自殺がクローズアップされるたびに、いじめの再調査や定義変更が行なわれ、認知件数は乱高下を続けている。こうした状況に対して、教職員の回答だけでは「いじめ」「教師いじめ」が報告されづらいという問題指摘がされ続けている。また本人の意に反した教職員の不登校対応も問題になっている。問題行動調査では、不登校に対する「とくに効果のあった学校の措置」も調査している。昨年の調査結果で、もっとも多かった学校の措置は「電話掛け」51・2%、ついで「家庭訪問」47・7%。しかし、本人の意に反する「家庭訪問」「電話がけ」に対し「先生からの電話や家庭訪問によって、逃げ道がなくなった感覚になり、泣き崩れてしまった」(本紙381号)という例や、「くり返される家庭訪問によって神経症気味になり動けなくなってしまった」(本紙369号)という例など本紙ではたびたび紹介してきた。(本紙編集長・石井志昂)
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