不登校新聞

445号 2016/11/1

ひきこもり当事者を支える極意とは?

2016年10月28日 17:15 by kito-shin
2016年10月28日 17:15 by kito-shin


連載「ひきこもり時給2000円」vol.39


 さて、この連載も今回を含めてあと4回になりました。もう少しだけ、お付き合いください。
 
 僕の友人に、「ひきこもっていたときも、選挙にはかならず行っていた」という人がいます。いや、べつに政治に熱心とか、そういうのじゃなくて、「こんな私にも毎回選挙のお知らせが来るのがうれしくって。何か必要とされているみたいだったから」とのこと。そういえば、僕にもそれに似たようなことがありました。学生時代の友人から「年賀状を送るね」みたいなことを言われて、来る日も来る日も家の外のポストをチェックして、何も入っていないとがっかりして家の中に戻る……みたいな日々が。誰かに自分のことを気にかけてほしかったんだと思います。
 
 10年ほど前、ある大学で学生向けの講義をさせてもらったとき、彼らのレポートに、こんなことが書かれていました。「学校に来れなくなっている友人にどう声をかけたらよいかわからなくって、でも腫れ物に触るみたいなのもヘンだから、なるべくふつうに接するようにした/ただ、隣にいるようにした」。それを読んで、「なんだ、学生さんのほうがよくわかってるんだな」と思いました。「ひきこもっているとき、どのように接してもらったらうれしかったか?」。ここは人にもよるから絶対的な正解はないけれど、この接し方はうれしいと思います。「特別扱いせず、でも気にかけて」というあたり。何もしないけど、ただそこにいる。突き放さない。見捨てない。
 

相手を変えたいと思わずに

 
 もうひとつ、僕の友人の話をします。僕より4つ上の男性、長期のひきこもり経験あり。彼はたまに音信不通になるのだけど、ある時期は、6年くらい連絡が取れませんでした。
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