連載「あのとき、答えられなかった質問」vol.7
「ひきこもりの原因は親の育て方にあったのでしょうか?」と聞かれれば、「……はい、でもそれで親を責めるというのは少しちがいます」と答えます。
自分と親との関係に問題があると気づいたのは30歳近くでした。それまでは、そんなふうには1mmも考えていませんでした。もちろん親に不満があるときもありましたが、「なんていい親に育てられたんだ」と考えていました。20代でひきこもったときも、ひきこもりの原因は自分の性格にあると思っていました。
犯人探しではないが
「どうもちがうな」と思いだしたのは、岸田秀の著作、とりわけ『フロイドを読む』を読んだときからです。『フロイドを読む』は著者の生い立ちと母親との関係を素材にしながら自己分析を展開したものです。これを読んで初めて自分と親のあいだに問題があると確信しました。
一例を挙げれば、私は子どものときから大人しく、気が小さく、極度の心配症で不安が強かったのですが、これは自分の持って生まれた性格ゆえだと思っていました。
読者コメント