今回執筆したのは、PN・猫田良子さん(30代・女性)。不登校したあと、「ふつう」を必死で演じてきたという。
「ふつう」に見えるけど実際は生きづらい人って、じつはたくさんいると思う。友人がいて、オシャレをしていて、精神的な病気もなくて、アルバイトをしていたり、結婚していたり……。そんなふうに、一見、社会に適応しているように見えても、本当はどうしようもなく苦しくて、ギリギリで生きている人たち。私も「そういう人」の一人だ。
就労も無職も
20代のころは、働くことのできない自分を隠し、取りつくろうのに必死だった。短時間勤務のアルバイトさえ続けられなかった私は、かといって無職であることにも耐えられなかった。「ふつうの人は働くべき」という考えがつねに頭から離れなくて、働くことは自分に課せられた絶対的な義務であるように感じていた。
だから苦肉の策として、在宅ワークをはじめた。友人がホームページをつくる仕事をしていたので、そのお手伝いとして、バナーやチラシをパソコンでつくった。収入はお小遣い程度しかなく、これを「仕事」と言えるのかどうかも怪しいものだったが、まわりの人には「家で仕事をしている」と説明した。「ふつうの人」に見られたくて必死だったのだ。
外見にも気をつかっていた。毎月、美容院に行き、新しい服を何着も買った。それは自分を守るための鎧のようなものだったと思う。内面に自信がもてないぶん、せめて外見だけでも自分の思い描く「ふつうの20代」でいたかったのだ。そうしてなんとか体裁を取りつくろってはいたが、実際には親のお金で生活し、オシャレをしていたわけで、その罪悪感はすさまじいものがあった。
20代後半になると、精神面だけでなく体調も悪くなり、吐き気やめまい、体の痛みなど、さまざまな症状に悩まされることになった。
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