不登校新聞

467号 2017/10/1

外見はふつう、内面はひきこもりを続けた結果…【当事者手記】

2017年09月29日 16:48 by kito-shin
2017年09月29日 16:48 by kito-shin

今回執筆したのは、PN・猫田良子さん(30代・女性)。不登校したあと、「ふつう」を必死で演じてきたという。

 「ふつう」に見えるけど実際は生きづらい人って、じつはたくさんいると思う。友人がいて、オシャレをしていて、精神的な病気もなくて、アルバイトをしていたり、結婚していたり……。そんなふうに、一見、社会に適応しているように見えても、本当はどうしようもなく苦しくて、ギリギリで生きている人たち。私も「そういう人」の一人だ。

就労も無職も

 20代のころは、働くことのできない自分を隠し、取りつくろうのに必死だった。短時間勤務のアルバイトさえ続けられなかった私は、かといって無職であることにも耐えられなかった。「ふつうの人は働くべき」という考えがつねに頭から離れなくて、働くことは自分に課せられた絶対的な義務であるように感じていた。

 だから苦肉の策として、在宅ワークをはじめた。友人がホームページをつくる仕事をしていたので、そのお手伝いとして、バナーやチラシをパソコンでつくった。収入はお小遣い程度しかなく、これを「仕事」と言えるのかどうかも怪しいものだったが、まわりの人には「家で仕事をしている」と説明した。「ふつうの人」に見られたくて必死だったのだ。

 外見にも気をつかっていた。毎月、美容院に行き、新しい服を何着も買った。それは自分を守るための鎧のようなものだったと思う。内面に自信がもてないぶん、せめて外見だけでも自分の思い描く「ふつうの20代」でいたかったのだ。そうしてなんとか体裁を取りつくろってはいたが、実際には親のお金で生活し、オシャレをしていたわけで、その罪悪感はすさまじいものがあった。

 20代後半になると、精神面だけでなく体調も悪くなり、吐き気やめまい、体の痛みなど、さまざまな症状に悩まされることになった。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「親子関係は?元気になったきっかけは?」3人の経験者が語る私の不登校とその後

625号 2024/5/1

「40代で人生2度目のひきこもり」ひきこもり経験者が語るふたたび動き出すまでの出来事と気持ち

624号 2024/4/15

「30歳を目前に焦っていた」就活失敗を機に大学生でひきこもった私が再び動き出すまでに取り組んだこと

623号 2024/4/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…