不登校新聞

468号 2017/10/15

いじめの解消に必要なことは~各党の回答【衆院選2017】

2017年10月13日 19:03 by koguma
2017年10月13日 19:03 by koguma

質問:「いじめ」の解消には何が必要か?

 「いじめ防止対策推進法」では、「重大事態」が起きた際には常設の委員会とは別に当該委員会を立ち上げることを義務付けています。(同法28条)。
しかしながら、先日、茨城県取手市教育委員会は、市内の中学3年生女子生徒が遺書を残し、いじめを苦に自死した事案について「いじめは認められない、重大事態にはあたらない」との判断をしました。その後、遺族の訴えがあり、同市教委はこの判断を撤回し謝罪しています。

 2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行されて4年。「いじめ」や同法をめぐる現状についてどのように捉えているか。また、「いじめ」の解消に向けて今後どのような取り組みが必要だと考えているか、貴党のお考えを200文字以内でお聞かせください。

【自民党】
 「いじめ防止対策推進法」に基づく総合的ないじめ対策が全国で確実に実施されているか点検し、国、地方自治体および学校が有機的に連携しながら、組織的にいじめ対策を推進できるような方策を講じます。

 また、インターネット内での問題行動に対する取り組みも強化するとともに、いじめの予防および早期解決に向けて地方自治体を支援するため、緊急時にいじめ・自殺等対策の専門家を派遣するなど国の体制を整備します。

【公明党】
 防止法見直しを議論した文科省の有識者会議が2016年11月、自殺防止・いじめへの対応を学校における最重要課題と位置づけたうえで、問題を担任だけに押し付けずに学校を挙げて取り組むこと、情報共有を徹底すること、いじめ対策組織に弁護士など外部人材を参画させること等を提言。

 これを受けて2017年3月、「基本的な方針」が改定され、対策強化が図られました。教員を支え、後押ししつつ、いじめ対策が徹底されるよう取り組みます。

【共産党】
 いじめは深刻さをましていると思います。学校や社会のあり方が、子どものストレスを強める方向で動いているからです。
 残念ながら現場対応も自己保身的なものが目立ちます。根本的には子どもにストレスを与える政策をやめることです。今いじめられている子どもの命を救うことが大切です。

 私たちはそのための提案(2012年11月28日)を行い、いじめ被害の深さを理解し、どんな業務より子どもを最優先すること等を述べています。

【日本維新の会】
 いじめを絶対に許してはならない。その解消に向けて、学校も教育委員会も自治体が判断停止に陥ることなく全力で取り組むことができるようにするために、教育に関する地方分権を進め、学校の設置・運営についての規制も緩和すべきである。なお、政府が設置する学校に対しては政府も全力で取り組むべきである。

【希望の党】
 学校や教育委員会が、いじめはどの学校にもあるとの認識を持ち、適切に対応できるようにすべきです。

 施行後4年が経過する「いじめ防止対策推進法」の改正についても検討していきます。

【立憲民主党】
 2013年に「いじめ防止対策推進法」が成立したことで、いじめ問題に関する社会的な認識が進み、自治体レベルを含めてさまざまな取り組みが進められてきたことを積極的に評価します。一方で、現場では対策のレベルや進捗に差があり、いじめ事案に対する適切な対応ができていない現状も認識しなければなりません。

 今後、推進法をさらに強化し、学校の相談体制の強化、学校と教育委員会の取り組みへの責任の確立、日常的な児童相談所、警察との連携態勢を整えます。

【社民党】
 安易に警察に頼ったり加害者を排除するだけの「外科的」対処だけではなく、いじめの背景にある根本原因に対する対策が求められます。そのためには教育現場にゆとりを持たせ、外部の専門的な知識を導入することも重要です。教職員・学校に余裕がないと事なかれ主義の対処や、安易な対症療法に陥りがちです。また学校まかせではなく、家庭や地域、専門家の力を結集して、いじめ対策をすすめる仕組みも求められていると考えます。

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