就労支援施設「NPO法人FDA(Future Dream Achievement)」は不登校・ひきこもり経験者が就労定着につながっていると話題になっている。FDAが行なっているのは就労移行支援と就労継続支援B型(利用には障害者手帳や医師からの受給者証などが必要)。具体的にどんな支援を行なっているのか、FDA理事長・成澤俊輔さんにお話をうかがった。
――FDAは何を目指している団体なのでしょうか?
僕たちがやっている取り組みは、ただ一つです。みんなに「大丈夫」と言うことです。「100%社会とつながれる」という事実がわかれば、わが子を殺さなくても、自殺しなくてもすむ人がいます。なので当事者にも、家族にも、支援者にも、企業にも、行政にも「大丈夫だよ」と言いたい、それが取り組みの原点です。
背景のひとつには私の経験があります。中高生のころ、眼科に行くと「点字を覚えようね」「白い杖をつけるようになろうね」と言われてきました。私には先天性の難病があり、視力が少しずつ失われていったからです。
眼科へ行くたびに声をかけられ、私は「何もわかってないな」と思っていました。点字を覚えてもやり取りをする相手がいなくて困ってたんです。杖をついても出掛けたい先が見当たらないから困っていたんです。
富士山に登るうえで大切なのは、靴でもウェアでもなく「きれいなご来光を見たい」というような気持ちです。福祉の現場では手段と目的がひっくり返っていることがたくさんあります。僕はあのとき、何ができるかではなく、まず「大丈夫だよ」と言ってほしかったんです。「あなたの眼がどうなっても大丈夫」、そう言ってくれる組織が必要だと思っていました。
就労支援 3つのルール
――FDAには、どんな人たちが通っていますか?
FDAは現在10代後半~60代前半まで約80人が利用しています。もちろん不登校、ひきこもり経験者もいます。また、精神、知的、身体、発達をあわせて40種類の「障がい」を持った人たちが通っています。スタッフも15名ほどいますが8割ぐらいは当事者です。
毎年10名以上が就職しており、半年後の就職定着率も90・2%(2015年度)ですから質量ともに業界でトップクラスだと自負しています。
というのもFDAでは就労支援をするうえで3つのルールを決めているからです。
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