不登校新聞

478号 2018/3/15

「死にたい」という気持ち、「包括的な生きる支援」へ LINEやチャットで毎日相談受付中

2018年03月12日 16:23 by kito-shin
2018年03月12日 16:23 by kito-shin


生きづらびっと(LINE)

 SNSを活用した「若者向け自殺相談(包括的な相談支援)」が3月1日より開始された。一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」とNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」の共同事業として、「自殺対策強化月間」に合わせて、3月31日まで試験的な運用を実施する。

自殺者は減少傾向
ただし未成年は増加

 厚生労働省によると、2017年の自殺者は2万1140人(前年比757人)。8年連続で減少傾向にあり、人口10万人あたりの自殺死亡率も16.7と、1978年の統計開始以来、過去最少となった。

 しかし、年代別に見ると、未成年のみ増加している。また、2017年に起きた座間事件のように、自殺願望をSNSに書き込んだ若者が事件に巻き込まれる例もあることから、同省では「若者の特性に応じた支援の充実が急務」としている。

細切れの支援ではない
包括的な生きる支援を

 自殺対策については、電話による相談事業なども行なわれてきた。一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」も「よりそいホットライン」を実施してきたが、20代以下の相談者は全体の2割弱だった。より気軽な相談が可能になるようにと近年、若者に身近なSNSを利用した相談事業も行なわれてきたが、「話を聞くだけで終わる」などの課題が挙げられていた。

 細切れの支援となりがちだった自殺対策のこれまでを踏まえ、今回の事業は、「包括的な生きる支援」に主眼を置いている。①SNS相談②電話相談③実務支援④緊急保護⑤居場所提供というように、一貫した支援体制のなか、全国の連携団体や弁護士・精神科医とのネットワークも活かしながら対応するという。

 おもな内容として▽LINEアカウントによる相談支援(毎日17時~24時)▽WEBチャットによる対話支援▽ツイッターやインスタグラム等によるネットパトロール▽全国の直接支援団体と連携した一時保護や居場所の提供、などを行なう。相談体制については、相談員と心理学専攻の大学院生でペア(10組)を組み、自殺相談の専門家が2名2組体制(計4名)でスーパーバイズを実施する。

■清水康之さん(自殺対策支援センターライフリンク代表)のコメント。
「死にたい」「生きるのがつらい」「もう消えてしまいたい」。。。言葉にしづらいそうした思いを受け止めたいと、3月1~31日の、毎日17~24時まで(受付は23時30分まで)、LINEやWebチャットで相談を受け付けています。かつて自殺念慮を抱えていた当事者や様々な分野の専門家、自殺念慮に苦しむ人を支える活動をしている相談員などがチカラをあわせて相談を受けています。「よりそいチャット」のサイトにアクセスし、相談に進んでください。

■「よりそいチャット」
https://yorisoi-chat.jp/

■LINEアカウント「生きづらびっと」(@yorisoi-chat)

関連記事

『不登校新聞』のおすすめ

625号 2024/5/1

編集後記

625号 2024/5/1

『不登校新聞』のおすすめ

624号 2024/4/15

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…