不登校新聞

481号 2018/5/1

創刊20周年『不登校新聞』が目指してきたもの

2018年05月01日 10:47 by shiko



 『不登校新聞』創刊20周年号を発行する日を迎えることができました。読者のみなさまをはじめ、この新聞づくりに参加した多くの子ども、若者、新聞発送の手作業に協力してくださったお母さんたち、紙面に登場してくださった人々、じつに多くの人々に支えられて、一度は休刊の危機も乗り越えて、ここまでの歩みを続けてくることができました。心から深く感謝申し上げます。

創刊当時の思い

 創刊20周年を迎えるに際して、1998年4月1日発行の創刊準備号(本号無料)と同年5月1日発行の創刊号に目を通すと、まさに紙面のすみずみから市民のNPOとしてボランティアの手で「子どものために」「子どもとともに」不登校をテーマにした新しい新聞をつくろうという当時の意気が伝わってきます。

 創刊準備号の1面の「全国不登校新聞社設立趣意書」には、わが国の不登校問題の背景に学校教育の歪みや学校信仰が子どもたちを苦しめる人権侵害の社会状況があることを指摘し、「子どもたちは、学校に行かなくなるというかたちで自分を守り、傷ついた心を回復し、自分らしく成長しようとしています。その意味で、不登校は子どもの権利として認められるべきであると考えています」。また「子どもの人権の視点に立って、正確な情報を提供し」「読者参加の新聞をめざし」「多様な生き方を認め、日本の社会や文化のあり方への問題提起になることを願っています」としています。

 創刊号の1面トップ記事は、家庭内暴力のある14歳の息子を、眠っているあいだに金属バットで殴り殺害した父親が懲役3年の刑を受けた裁判を報じています。検察官も父親の弁護人も裁判官も、息子の暴力被害を受けて傷つき、将来を悲観した父親の心境を論じただけの裁判について、子どもの心が理解されず、追い詰められた子どもの家庭内暴力の原因も解明されていないという点を指摘した報道は本紙のみでした。

 論説では奥地圭子代表理事が「子どもという生命の側に立つ」、多田元理事は「草原をわたる風に耳を傾けるように子どもに耳を傾け、不登校を明るい色に変える風を起こす」、山田潤理事(当時)は「私たちがニュースをつくり発信しよう、みんながニュースになる」と述べています。

当事者視点でこれからも

 創刊号の「かがり火」では、奥地代表理事が、「わが子の不登校から20年」と本紙誕生までの歩みを述べています。それからの『不登校新聞』は、20年の歩みのなかで「不登校の歴史」、「子ども若者のページ」、漫画「森の喫茶店」の休みなき連載やコーナーのほか、「不登校の子どもの権利宣言」など、子どもの視点、当事者の視点からぶれることなく、不登校、「こもる」ことの意味、多様な生き方、学び方などについて発信を続けてきました。「教育機会確保法」の成立など新しい動きも見えてきましたが、学校の状況は容易に変わらない現実もあります。これからも創刊当時の初心を大切に、この歩みを進めていきます。どうぞこれからも末永くご愛読をよろしくお願い申し上げます。

2018年5月1日 全国不登校新聞社

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