連載「決まり文句の研究」vol.11
世間一般では、ひきこもり状態の人に対して「弱い」という見方が定着しているようです。「ひきこもりは弱い人間がなるものだ」と。そこまではおっしゃらなくても、近い感情を持つ親御さんも少なくありません。
しかし「強い/弱い」という評価軸で人を判断することは、妥当なのでしょうか。
私のプロフィールにありますように、私は高校時代に不登校状態を、その後に(具体的には大学卒業1年後から)ひきこもり状態を経験しています。そのため、前述の評価軸を使えば、私は「不登校時代は弱かったが、強くなったので高校を卒業できた」ということになり、「ひきこもり時代は弱かったが、そのあとは強くなって今に至る」ということになります。
では、自分自身はそのように実感しているのか。その実感はまったくありません。高校の不登校時代は、がんばって学校に行こうとしていましたが、その後の高校生活ではがんばらなくても学校に行けていたからです。
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