不登校新聞

488号 2018/8/15

不登校経験者の声で気がついた「社会性」を育てる方法

2018年08月15日 08:17 by koguma



 子どもが家ですごすようになり、少しずつ落ち着いてくると、自然と子どもの笑顔が増えていきます。親としては、そのようすを見て、ホッと胸をなでおろすわけです。

  ところが、「このまま家にいるだけでは、社会性が育たないんじゃないのか?」という、新たな不安が湧いてきます。

  私の長男が家にひきこもっていたころは、この社会性という言葉に、ずっとひっかかっていました。

 社会性って、いったいなに?

  私自身の学生時代をふりかえっても、学校がイヤだと思うことは多々ありました。しかし、学校は勉強だけじゃありません。友人や先生との付き合いといった、人間関係についてもいろいろ学ぶところだと思っていたからです。

  ところで、社会性とは、いったい何なのでしょう。先日、大学アメリカンフットボールの試合で、相手選手にケガをさせるような行為を指示していたのではないかと、監督やコーチが大きく注目されました。

 記者会見のようすなどを見ていても、自己保身に走っているのは明らか。大人のズルさを垣間見たようで、私は彼らに社会性があるようには見えませんでした。

  そもそも、学校に行っていなければ、家の外に出て他人と関わらなければ、社会性は身につかないのか。いえ、そんなことはありません。小さくとも、家庭は立派な社会です。

  家庭という小さな社会で、安心・安定した生活が送れることが、とても大切になります。なぜなら、子どもは親の社会性をしっかり見ているからです。

周囲の理解が本人の安心感に

  「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会」は今年、金沢市で開催されました。子どもが巣立ったあとも、私は毎年欠かさず参加しています。大会ではこれまで、思いやりがあり、すてきだなと思える若者に多く出会ってきました。彼らは、社会性がない人たちではありませんでした。

  たしかに、不登校やひきこもりを経験し、つらい時期はあったと言います。しかし、彼らを親が理解してくれ、家で安心してすごせるようになって初めて、外に目が向けられるようになった、と語ります。

  自暴自棄になった若者が、残酷で不幸な事件を起こしたという報道を今もよく目にします。世間はえてして、事件を起こした犯人ばかりを糾弾します。しかし、私は思います。彼らは事件を起こすもっと手前の段階、小さな社会である家庭のなかで受けとめられた実感を持てず、その先の大きな社会である世のなかに絶望した結果なんじゃないか、と。

  社会性という言葉にとらわれ、外にばかり目を向けるのではなく、家のなかを居心地のよい社会にしていくことが大切なことなのだと、当事者の声を聞きながら、いつも感じています。


■ 【執筆者プロフィール】関川ゆう子(せきかわ・ゆうこ)/長男が中学3年生のときに不登校になる。以来、18年に渡って「登校拒否を考える会」(東京)に毎月参加している。全国不登校新聞社理事。

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