不登校新聞

489号 2018/9/1

夏休み明けは子どもがつらい時期 親がしてはいけない2つの対応

2018年08月31日 10:51 by koguma



【質問】
最近、「9月1日の子どもの自殺」を取り上げたテレビや新聞記事をよく目にします。親としてはできるかぎり、子どもにつらい思いをさせたくありません。夏休み明けのこの時期、つらい思いを抱えた子どもが発するSOSには、どのようなものがあり、親は何に気をつければいいのでしょうか。またその際、親はどういう対応をすればいいのでしょうか?

 9月1日の子どもの自殺については、『不登校新聞』が文部科学省で行なった記者会見によって、各メディアが問題の重大性に気づき、報道が増えはじめたのだと思います。

 私も、どうすればいいのかと尋ねられることが多いのですが、自殺防止のためには、ノウハウやテクニックではなく、「学校は命をかけてまで通う場所ではない」という、当たり前の考え方を浸透させることこそが、不可欠なのです。

 本当は校長先生やPTA会長あたりが、「命がけで登校せず、堂々と休みましょう」と、訓示でもしてくれれば一番いいのですが、してもらえない場合がほとんどなので、親が言うしかありません。

 それを大前提に申し上げるのですが、夏休みの終盤に、「宿題が終わっていない」「体の具合が悪い」などの訴えが子どもからあるときは、「SOS」だと考えたほうがいいでしょう。

 こういうSOSを自分から発信するのは、身近にいる大人に気づいてほしい何かがあるからです。

説得は厳禁

 そのとき、SOSを受信した親は、まちがっても「宿題を手伝ってあげよう」「規則正しい生活をしないから具合が悪くなるのだ」などと、応じるべきではありません。「宿題はしなくていいから、夏休みを延長してゆっくり休もう」くらいが、ちょうどいいのです。

 もっと深刻になってくると、元気がなくなったり、食事や睡眠がとれなくなったりといった、誰にでもわかる不調が現れてきます。

 そうなったときには、真剣に「学校なんかには行かないでくれ」「安全な家でダラダラしてくれ」と頼むしかありません。

 もはやおわかりでしょうが、「がんばろう」「家の中ばかりでは進歩がない」といった説得は厳禁です。同様に、「死なないでくれ」と頼むのはいいですが、「死んで何になる」といった説教は、百害あって一利なしです。

 さらに深刻になると、逆に吹っ切れたように、表情が明るくなります。そこで安心してしまうと、とりかえしのつかない事態に陥ります。

 明るくなったのは、悩みが解決したからではなく、死による解決を一筋の光明と感じて、自殺を決意したからなのです。こうなると、子どもを一人にしておくことはできません。あからさまな監視はできないでしょうから、近距離から見守りつづけることが必須です。

 心配な内容ばかりを列挙したかもしれませんが、最初に記したように、「学校は命をかけてまで通う場所ではない」という考え方さえ浸透していれば、大丈夫です。

■回答者・高岡健プロフィール
(たかおか・けん)1953年、徳島県生まれ。1979年、岐阜大学医学部卒業。岐阜赤十字病院精神科部長、岐阜大学准教授を経て、2015年より岐阜県立こども医療福祉センター発達精神医学研究所所長。日本児童青年精神医学会理事。少年事件の精神鑑定も数多く手がける。雑誌『精神医療』(批評社)編集委員。著書に『人格障害論の虚像』(雲母書房2003)、『引きこもりを恐れず』(ウェイツ2003)、『不登校・ひきこもりを生きる』(青灯社2011)など多数。共著に『不登校を解く』(共著:門眞一郎、滝川一廣/ミネルヴァ書房1998)、『時代病』(共著:吉本隆明/ウェイツ2005)、『殺し殺されることの彼方』(共著:芹沢俊介/雲母書房2004)など多数。

 

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