2018年8月4日~5日にかけ、金沢市で開催された「登校拒否・不登校を考える夏の全国合宿」。基調講演に登壇した棋士の羽生善治さんから、夏休み明けを迎える子どもたちに向けて、メッセージをいただいた。
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すごくつらいことや苦しいこと、その人にとってたいへんな環境というのは、やはりあると思います。そして苦しさから気持ちが沈んでしまうことも、ある程度、しかたがないことだと思います。
私自身もそういう経験がありますが、気持ちの浮き沈みは天気のようなものです。雨が降ったり、雪が降ったりするようなもので、苦しさを自分でコントロールできません。しかし、それが永遠に続くわけでもないのです。
今の状況は、バイオリズムのひとつだと思って受けいれて、今後どうするかを考えるしかありません。
考え方のひとつとしては「誰かが同じような境遇にいたはずだ」と思うことです。まったく同じではなくても、自分と近い境遇の人が、うまく解消していったことを、どこかで書いていたり、話していたりしているはずです。本や映画のなかでそういうことを書いている場合もあります。
というのも「苦しいとき、どうしたのか」については、古今東西の人たちによる膨大な営みがあります。そういう営みからヒントを探していくことや、いまとはちがったアプローチを考えてみるというのも手ではないかと思います。
もうひとつあげるとするならば「10代の特典」を使ってほしいと思っています。
これは私の経験に基づいての話ですが「10代からの相談だから大人が対応する」ということがあります。これが大人になるとそんなにうまくいかないこともあります。自分では気がつきにくいものですが、10代のころは「特典があるんだよ」ということも知ってほしいなと思っています。
【プロフィール】
(はぶ・よしはる)
1970年、埼玉県生まれ。中学生でプロ棋士となる。2017年、史上初の永世七冠を達成し、棋士として初の国民栄誉賞を授与された。
読者コメント
yuka-fujiwara
読者のみ こんにちは 私の娘が今不登校で中学校が行けてません 小...