不登校新聞

299号(2010.10.1)

肉から探す失われたもの

2013年09月19日 15:33 by kito-shin
2013年09月19日 15:33 by kito-shin

卵から始める食肉獲得への道



卵から生まれた直後のヒヨコ

 わが家ではたくさんの生き物と暮らしている。なかには冷凍マウスを与える必要のある爬虫類のトカゲもいる。このことを話すと驚かれたり、いやな顔をされたりする。でも、だいたいの人は肉を食べている。スーパーで売られる肉を食べることと、トカゲがマウスを食べることは何ら変わらないのにだ。とは言え、私自身も、売られている肉にその生き物の生涯やいのちを感じることができない。当たり前だが、食用の家畜にも感情があり、育ってきた時間がある。肉にかぎらず、命をいただく大事な行為に対して、私はあまりにも無自覚で、そこに至る過程をスキップしすぎている。
 
 私の友人には「鶏肉ってニワトリの肉だったの?」と聞いてきた人がいる。あるいは「牛や豚が肉用に殺されるときって麻酔されるんじゃないの?」と聞いてきた友人もいた。知らないことは多い。
 
 子ども若者編集部では、メンバー間でおたがいの不登校経験を話すなかで、不登校を考えることは、つまるところ「いのちをどう捉えるかにある」という声が多い。私もそれに賛同している。しかし、前述の通り、私たちはあまりに「いのち」を感じない環境にいる。そこで自分たちの不登校を考え「いのちを食べるとはなんなのか」を考えるために、この企画「食べるいのち」をスタートさせた。
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