不登校新聞

299号(2010.10.1)

不登校の歴史 第299回

2013年09月19日 15:06 by kito-shin
2013年09月19日 15:06 by kito-shin

フリースクール白書



 大阪府・岸和田で中学生虐待事件が発覚した2004年、長崎では小6女子が同級生を校内で殺害するという事件が起き、福井では副知事が「不登校児は不良品」だと発言した。のちに福井の副知事は抗議を受け陳謝している。
 
 これらの事件は、一見関連がないように見えるかもしれないが、不登校の子ども、ひいては学校に通う子も追いつめられる、という一連の事態とつながっていた、と言える。
 
 前年の03年、文科省は「働きかけ、関わりの重要性」などを説く協力者会議の最終報告を発表。協力者会議によって、学校復帰策が変わらないどころか登校圧力は増していった。
 
 そのうえ、虐待事件を受けて行政は家庭訪問や本人確認を急いだが、これが結果的には登校圧力につながっていった。そして、文科省が発表する学校基本調査では、不登校の子どもが28年ぶりに微減したのである。
 
 長崎事件について現地調査をした人たちの話によれば、この地域は、受験競争が激しく、子どもたちはストレス度の高い教育環境に置かれていたそうだ。私は、長崎県の不登校率が「全国一低い」ということにも大きな問題を感じた。不登校率を下げるため、あるいはそれを目指した「不登校減らし」は、これまでにも熱心に行なわれてきた。しかしその不登校減らしは、子どもに楽しく学校に通ってもらうというものではなく、休めないこと、休む権利を奪う状況をつくる、というものであった。この長崎事件の地域もそうだった。
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