長崎県佐世保市(光武顕市長)が2006年6月29日、基本理念に「郷土や国を愛し」などの文言を盛り込んだ佐世保市子ども育成条例を施行した。奈良県の補導条例や大阪府の青少年健全育成条例などと同様、批判の声が挙がっている。
佐世保市は、条例を「教育都市・佐世保の実現のため、その基本理念、市民などの役割、基本的な施策等を明らかにし、子どもの幸せと健やかな成長を図る決意の宣言」と位置づけている。
条例は前文と17条で構成されている。第3条の「子どもの育成の基本理念」は、「子どもの最善の利益が考えられること」とする一方で、「子どもが優しさやたくましさを身につけ、人を愛し、郷土や国を愛し、世界の平和を願い、自然を大切にする心、社会に役に立とうとする意識(中略)を持てるよう支援する」と「愛国心」の育成も規定された。
第2条「子どもの定義」で「子どもとはおおむね15歳未満」と規定。この定義に関して、佐世保市は「まずは15歳までの育成に力を入れることが大切」であり、15歳から18歳未満は「社会貢献活動が期待できることを鑑み、たんに保護、育成すべき対象として捉えるのではなく、自立性を尊重しながら必要な配慮をすることが必要」との見解を示した。
このほか、子どもの育成について、市民、学校、企業、地域の役割が条例に盛り込まれた。
市議会で修正
条例の作成は、2003年、市長の諮問機関「教育を考える市民会議」の提言を受けたことから始まった。
市は04年2月から検討会議を設置(平山祐次会長)。子どもの権利条約を条例化している19自治体の例を検証するなど、1年間の検討の末、05年の3月に報告をまとめた。市は報告を受けて条文を作成、同年11月から市議会での検討が始まった。
市が提案した当初案では「人を愛し、郷土や国を愛し、世界の平和を願い」の文言は入っていなかった。
しかし、佐世保市議会で自民、自民、民主、公明党会系の各会派が、前述の「愛国心」表記などを盛り込み修正案を提出。28日に議員34名中26名が賛成し可決された。
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