「現代詩」で異例のヒットを続けている詩人・最果タヒさん。その感性は若者から大きな支持を集めており、中原中也賞の受賞や詩集を原作に映画化されるなど評価を得ている。最果タヒさんに学校で苦しんだ10代が感じていることや学校自体についての考えをうかがった。
――最果さんは10代の自分と今とを比べて、どのような変化を感じますか?
前は、自分の外に漠然とした「世界」があると思っていました。「自分」のほかは「全世界」という感じで、物事の見え方が具体的ではなかったんです。
本当はいろいろ分かれているものなのに、境界線がぼんやりしていて、大まかな捉え方をしていましたね。それが、今では具体的に見えるようになりました。
世のなかのどういうところにどんな人がいるのかを知っていって、ひとまとまりだった「世界」が、バラバラになった気がします。
昔は、もっと「無敵感」があったんですけど(笑)。大きな「世界」に対して、何となく自信を持っていたんです。根拠も何もないんですけど「大丈夫」「できる」と思えていたところがありました。
でも今は、世のなかには才能のある人たちがたくさんいて、自分にはできないことがいっぱいあるとわかりました。
それは「自分がダメだ」ということではなくて、「世界」がバラバラになったからこそ、自分がどんなところにいるのか、ちゃんと位置づけられるようになったんだと思います。
いろんな人たちがそれぞれの道を歩んで、それぞれにできることをやっている。自分もその一員として、ならんで横の道を歩んでいるんだなって思います。
10代のときはすごくモヤモヤしていて、言葉にできないものがたくさんありますよね。
読者コメント