不登校新聞

498号 2019/1/15

資格も仕事もあるし、仲間もいるのに別れられない学歴コンプレックス

2019年01月15日 16:55 by motegiryoga



 私には、コンプレックスがある。それは「学歴」だ。今25歳になり、生きづらさを抱えながらも、社会人として働いている。

 しかし、ふだんは心の隅に追いやっているこのコンプレックスは、ふとした瞬間に吹き出し、今でも私を縛り続けている。

 私は高校時代、中学生のころに受けたいじめの傷が癒えていなかったり、母親との確執があったりして、自信を喪失していた。

 高校にはなんとか通い続けていたものの、「この先の人生なんて、もうどうでもいいよ」と、自暴自棄になっていた。

 そして進学先を決める時期に、私は「どこでもいいから早く決めて、未来を考えることから解放されたい」という悲観的な気持ちで、とくに望んでもいない大学に推薦をもらい、進学した。

 しかし本当は、私には気になっている大学があった。それは関西にある私立のD大学。私の母はその大学にあこがれて、一時期は私を入学させようとしていた。

 私も母の期待を背負い、なんとなくD大学にあこがれを持っていたのだが、当時は自暴自棄だったので、その気持ちすら、心の奥にしまって鍵をかけていた。

 しかし自分の入った大学で何のためになるのかよくわからない勉強をしたり、役に立つかわからない資格をとったり、社会人になってからも、いわゆる偏差値の高い大学の出身者と出会うたびに、心の奥にしまっていたはずのD大学へのあこがれが顔をのぞかせ、コンプレックスとなって私の心を縛るようになった。

 「D大学へ行けていたら、もっとちがう人生だったのかな」と、無い物ねだりをしてしまうのだ。

打ち明けてみた

 大学卒業後、社会人となり、会社での人間関係のトラブルからひきこもりになった私は、『不登校新聞』のスタッフと出会うご縁をいただいた。

 スタッフの方と話していたら、ある方の出身校がなんと、D大学であることを知った。私は正直にその方に、自分の学歴コンプレックスについて話してみた。

 するとその方は大学生活にあまりいい思い出がないらしく、「D大学はほんと、しょうもないとこだったよ」などと、こともなげに言う。

 また、次のように言われて私はハッとした。

 「ゆりなさんは大学を卒業して、資格も持っている。今は社会で働いてもいる。しかも不登校やひきこもりの当事者の会に行って、仲間と出会ったり、『不登校新聞』などにも記事を投稿している。そんな多様な活動をしていてもなお、学歴コンプレックスは抜けないんだね」と。

 おそらくスタッフの方は、私はもうコンプレックスを手放してもいいのでは、と思ったのだろう。

 D大学生に負けない、それ以上の経験をたくさん積んでいるではないか、と。その言葉は私を温かい気持ちにさせてくれた。

 しかし、それでも私は今なお、「学歴コンプレックス」が心のなかにあるのを感じる。

 私は、このままずっと「過去」を生き続けるのはイヤだ。いつまでたっても「今」を生きることができず、過去をふり返りながら生きていくのは苦しい。

 どうすればこのコンプレックスに別れを告げることができるのか。答えはまだ見えない。(ひきこもり経験者・ゆりな)

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