「言葉」って、ときどきいらないことがある。たとえば今だって、心のどこかに、まとめたい思いや伝えたいことが雲みたいになんとなく漂っている。
こんなにもどかしい今私がほしいのは、ただ飾るための言葉じゃない。この果てしない心のなかに手を差しのべられる空間がほしいのだ。
無心になればなろうとするほど、私はますます言葉なんてそっちのけになってしまう。
そしてより自前のひらめきや直感、瞳や耳の奥に灼きついた一瞬の感触、それらをひとつかみに重ねあわせて、ほどよくわきたってきてやっと、外からの「言葉」に押しつぶされずに、「まず自分自身に伝えたいこと」ができあがる気がする。
なんだかそれを頼りに「私」がここまで生きのびられてきたのかな、と今になって感じる。
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