フリースクールなどの「居場所スタッフ」は、日々、どんなことをしているのだろうか。「居場所をつくること」「子どもをサポートすること」、それらは既存の学校教員とちがい、見えづらい仕事でもある。そこで、今号から、居場所スタッフの方にリレーで手記を書いてもらう。
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私たちの寺子屋方丈舎は福島県の会津若松市という小さな町にある。この町で適応指導教室、現在の方丈舎と10年間子どもとのつきあいを行なってきた。
その私の技法は、①子どもを徹底的に理解する、②子どもと学びをつくる、③不可能と思われることを可能にする、④「性的な悩み」(下ネタとも誤解される)についてもタブーを設けない、⑤自分の権利、人権意識を自覚できる関わりをする、⑥自分の考えを徹底的に言語化し議論する。
私の技法は、自分自身の不登校体験、まったく言葉が通じないネパール、バングラデシュでの体験などによるところが大きい。
とにかくわかりあうにはつきあうしかない。初めて方丈舎にきた子どもと私の関わりの多くは「つきあうこと」なのである。人間にはかならずおもしろい点がある。
学びについては、学校の教科学習にはまったく自分は興味ない。自分たちで考え、調べ、実践しながらつくる学びは非常に興味深い。
ドイツの大学で歴史を勉強したいという子どもがいる。彼は高卒認定試験でどうしても英語が合格できない。
ただ英語を勉強するのはつまらないから、アメリカの中学校の歴史教科書で勉強する。歴史といっしょに勉強できるので、それならば可能だという。
私たちスタッフの「大人」さは、もちろん子どもを規律や常識で縛ることではない。逆に規律や常識を壊しながら何を実現するかに価値があるように思う。
ふだんの大人なら不可能だし、めんどうがるところを可能にすれば、もっと子どもは自分の可能性を広くとらえるにちがいない。
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