連載「不登校からの母親日記」vol.10
4月。少し緊張した表情の娘は、真新しいセーラー服を着て中学の入学式に参加した。正面玄関前には、クラス名簿が貼り出されており、私はドキドキして娘の名前を探した。
娘の希望どおり、なかよしの友だちといっしょの「5組」に名前があり、苦手な友だちとは別々のクラスになっていた。相談室の先生に心から感謝した。
まだ肌寒い体育館での入学式。校長先生の式辞、上級生のぼそぼそと唄う校歌が聞こえるなか、「どうか明日からも登校しますように」と祈るような思いだった。
式後、クラスに移動すると、担任の男性教師は「生徒の気持ちを大切にする」と話していた。娘は、背中をシャンと伸ばして先生の話を聞いている。
雲間から薄日が差してきたように思った。たぶん明日からも大丈夫なんじゃないか……。
新しい教科書。新しい友だち。初めての部活動。何もかもが新鮮で、娘は元気を取り戻し中学校に登校し続けた。
なかよしさんから同じ塾に通うことを誘われ、娘はその気になり授業と部活の後に塾にも通った。よかった、悪夢は終わった。やっと「ふつう」になったと胸をなでおろした。
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