不登校新聞

189号(2006.3.1)

抗うつ剤の使用上注意に「自殺の恐れ」 厚労省が製薬会社に明記を指示

2019年03月28日 13:02 by shiko
2019年03月28日 13:02 by shiko



 厚生労働省が抗うつ剤の副作用に「自殺の恐れ」があることを「使用上の注意」に明記するよう製薬会社に指示を出した。これにより、医師が処方するほとんどすべての抗うつ剤(12種類)に自殺の危険性に関する副作用が明記されることになった。

* * *

 厚生労働省によると、SSRIをはじめとする抗うつ剤の多くには、「自殺の恐れ」について注記されていた。しかし、薬の種類によって表記がまちまちであったほか、記載されていない薬もあり、今回の改定では、統一された書式で、12種類の抗うつ剤すべてに、自殺の恐れが明記された。

 現在、日本国内で承認されているSSRIは、「パキシル」「ルボックス」「デプロメール」の3種類(いずれも製品名)。今回の改訂では、3種すべてに「抗うつ剤の投与により18歳未満の患者で自殺企図のリスクが増加している報告がある」と表示されるようになった。

 このうち「パキシル」については、もともと18歳未満の「大うつ病性障害患者」に投与することが禁じられていた。しかし、今回の改定では「自殺の恐れ」が「警告」として表記される一方、投与は「慎重に」とされ、「禁忌」からは外された。

 これには、児童青年精神医学会からの要望が背景にある。同学会は、臨床現場でのニーズが高いにもかかわらず選択肢が狭まっているとして、2005年4月、厚労省に対して「パキシル」の18歳未満への使用禁忌を見直すよう、要望していた。また、「パキシル」は、06年1月から強迫性障害にも効能の範囲を拡大した。

 「ルボックス」「デプロメール」は、うつ病のほか、「社会不安障害」にも効能があるとして、現在、市場を拡大している。

 なお、アメリカでは、食品医薬品局(FDA)が04年10月、すべての抗うつ剤について、未成年が服用した場合、自殺を誘発する恐れがあるとして、医薬品警告としてはもっとも厳しい「ブラックボックス警告」を製品に表示するよう指示を出している。

 

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

物議を醸した東近江市長の発言 不登校の歴史から考える差別や偏見に立ち向かうために必要なこと

614号 2023/11/15

いじめがきっかけで不登校に 学校と生徒で「認知差85倍」の理由【全文公開】

613号 2023/11/1

「不登校に至る重大ないじめ 大半が見過ごしのおそれ」不登校支援団体らが記者会見で訴えた問題点と改善点【全文公開】

613号 2023/11/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

616号 2023/12/15

「1日15分から働けるカフェ」、愛知県春日井市のカフェ「ワンぽてぃと」では、社…

615号 2023/12/1

今回は障害や気質によって髪を切るのが苦手な子どもに寄り添う「スマイルカット」の…

614号 2023/11/15

「学校や会社とつながることに必死だった」。今回は、不登校の子どもと親の会「Sw…