不登校新聞

506号 2019/5/15

「本人の努力次第ではない」発達障害で50年、生きてきた私の半生

2019年05月14日 15:05 by kito-shin
2019年05月14日 15:05 by kito-shin

 講演会「私が私らしくあるように~発達障害とともに生きてきた道~」(主催/アスペ・発達凸凹の集い『優しい時間』※現「発達凸凹の集い『だんだん』」)の講演抄録を掲載する。講師は横山小夜子さん。

* * *

 本日はお集まりいただきありがとうございます。横山小夜子と申します。私は10年前、50歳近くになってから「アスペルガー障害」の診断を受けました。

 40歳すぎまでは、なぜ自分でも「ふつう」のことができないのかもわからず、まわりからも理解されず、ずっと孤独を感じていました。

 しかし、今日60人近い方に集まっていただいたということは、それだけ発達障害で困っている方も多いんだろうなと感じます。

 今日は、私自身のお話をさせていただき、みなさんの生活に少しでも、お役にたてればと思います。

 最初にお話するのは、私がいったい何に困ってきたのか。じつはその問いにこそ、私が一番、困ってきた質問でした(笑)。

 というのも困ることが1万個ぐらいあるからです。すべてを話すのは難しいので、今日は「気が散りやすい」「過敏」「言語コミュニケーションが苦手」という3つを中心に説明いたします。

日常生活では

 まずは「気が散りやすい」。私は、すぐに気が散ってしまうのでツメが甘いんです。

 洗濯物を干しているあいだにちがうことを始めてしまい、翌日、思い出して干そうと思ったら、洗たく物が洗たく機のなかで乾いて固まっているなんてことはよくあります。

 ATMでお金を取り忘れるのもしょっちゅうですし、電話が来ても保留をしたまま忘れてしまう。洗顔の途中で別のことを考え始めたために、パックを顔にしたまま外出したこともありました。

 お医者さんによると「余白があるから」ということらしいんです。かんたんな作業だと脳に余白ができてしまい、次のことを考えてしまったり、妄想したりして別のことを始めてしまうそうです。

 逆に難しいことは周囲が驚くほどかんたんにできてしまうということもあります。

 次に「過敏さ」。私は診断を受けてから、自分自身が感覚過敏であることを自覚しました。

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