不登校新聞

511号 2019/8/1

中学と専門学校、2度不登校をした私が、親にしてほしかったこと

2019年07月30日 16:32 by motegiryoga


執筆者・さゆりさん

 今回は、母親との関係や、母にしてほしかったことについて、不登校経験者のさゆりさんに書いてもらった。

* * *

 私は先日、人生で2度目の不登校になった。中学3年生のときに不登校し、通信制高校では楽しくすごしたものの、この4月から入学した専門学校に、入学後2週間で行けなくなってしまったのだ。

 クラスの人間関係はすごくピリピリしていて、その場にいるだけで緊張しっぱなしだった。実技やテストなど課題も多く、自分の発達障害という特性上、まわりとペースが合わなかった。

 専門学校に行けなくなってからしばらくして、私は母に「どういうふうにしたら専門学校へ行けていたと思う?」と聞かれた。

 この質問をされたとき、答えるのにすごく迷った。自分でもどうしたらよかったか、わからなかったからだ。

 もちろん母は、私がどうすれば専門学校に行きやすくなっていたかを純粋に考えてくれたんだと思う。私はそれに答えることができなかったことを申し訳なく思った。

 だけど、同時にこんなことも思った。「また学校の話題を出すの?」「学校に復帰させようとしているんじゃないの?」。

 母はただ心配で言ってくれたのかもしれない。でも私にとっては「母の心配」がものすごくプレッシャーだったのだ。

親に甘えられず

 私は親に上手に甘えることができない。私が中学で不登校になったとき、母は何も言わずそっとしておいてくれたが、内心は不安でいっぱいだったのだろう。

 私はあのとき迷惑をかけてしまったことへの罪悪感があったし、これでまた不登校になったら同じ負担を与えてしまう。

 それに中学のころとちがい、せっかく払ってくれた高い学費をムダにできない。「今度こそ期待に応えなくては」と思っているうちに、なんとなく母に専門学校のことを話しづらくなっていた。

 「ここで逃げたらもう終わりだ、がんばって行かなくちゃ」という思いと、「専門学校に対する違和感や『行きたくない』という本当の気持ちに嘘をつきたくない」という思い、いろいろな気持ちがループしてなんとか2週間耐えていたが、それも限界になり、パタリと行けなくなった。

 「ああ、私はなんて親不孝な娘なんだ」と毎晩のように自分を責め続け、ついには自傷行為に走ってしまい、それを母に見つかってしまった。

 だけど、自傷を見つかったことがきっかけで私の本心を母に言わざるを得ない状況になった。私は泣きながら初めて自分の本音を話した。

 母はときどき不安そうな表情をしながらも、話を最後まで聞いてくれた。そのときに私は気づいた。

 「ああ、アドバイスや解決策がほしかったんじゃない。私はただ話を聞いてほしかった。共感してほしかった。自分の考えを認めてほしかっただけなんだ」と。

 そう思った瞬間、なぜだかすうっと気持ちが楽になった。これでいいんだと思えた。

 このことがあってから、今は母に対する申し訳なさも少しはあるが減ってきたため、以前よりも母とちゃんと向き合えるようになったと思う。

またやり直せる

 その後、母と専門学校の先生と三者で話し、つい先日、私は専門学校に退学届を出した。

 追いつめられて自傷行為までしてしまったけれど、今は大丈夫。私の気持ちを受けとめてくれる母がいれば、またやり直せると思っている。

 この記事を読んでくれている親の方に伝えたいことがある。不登校の子どもがどんな状況になったとしても、親はその子を信じて見守り、その子の本音を最後まで聞いてあげてほしい。

 アドバイスではなく、とにかく共感して、「あなたはそのままでいいんだよ」と伝えてあげてほしい。

 そうすれば子どもは少しずつだけどありのままの自分を受けいれやすくなると思うし、受けいれられれば、自分の力で立ち上がることができる。

 私の体験だけでえらそうに語れないかもしれないけど、今は強くそう思っている。(不登校経験者・さゆり 18歳)

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