不登校新聞

511号 2019/8/1

ひといちばい敏感な息子、入園式当日から早くも試された母の決意

2020年04月16日 13:18 by kito-shin

連載「わが家が目指したのはHSCの安心基地」vol.3

 幼稚園の入園を控えた息子のたけるは、敏感・繊細で感受性が高い気質(HSC=Highly Sensitive Child)を持った子です。

 「ママがいっしょでなくては幼稚園に行かない」と言うたける。本人の気質に合った集団生活への移行方法を考えた結果、慣れるまでは親子でいっしょに通園させてもらうことに決まっていました。

 持ち物や式用の服など、準備で入園ムードが高まってきた3月、夫が「最近イヤな夢を見て、起きたときに不安が残って持続する」と言いました。

 内容は、学校で精神的に追い詰められている体験といったもの。

 夫は自分で「たけるが幼稚園に行くイメージが、自身の記憶のなかのネガティブなイメージを刺激しているのかもしれない」と分析していました。

 中学3年生のときに、孤独で不安な不登校時代をすごした夫は、たけると同じように繊細で敏感で、超高感度ともいえるセンサーを持っています。

 たけるがそうであるように、慣れない場所やたくさんの数の人に、人一倍不安や恐怖を感じてきましたが、そのような気質はほかの兄弟や人と比べて内気などと比較や否定をされてばかり。

 自己否定感や生きづらさを強めながらも、医師になるという、家系に敷かれたレールの上をなんとか必死に歩んできたのでした。

 私は入園式を前に、「つらい思いに耐えることが傷を深めることにつながってきた夫の子ども時代」と「たけるの不安に対して自分ができること」に心の軸をググっと寄せました。


子どもの気持ち、そこに立って

 怖いものは怖い。不安なものは不安。それを人一倍強く深く感じる子のつらさがどんなものか……。それを守ろうとすることがどうして悪かろうか! 勝手に士気が高まります。

 「入園式、たけるの不安は私が責任持って受けとめる! 絶対守る!」と宣言した私に対し、夫は深々と頭を下げました。

 その後、たけるといっしょに入園式の練習をしてみました。みんなで歌うチューリップも大きな声で元気に歌いました。

 入園式当日。たけるはママと練習したことをしっかりやろうと、初めて会うお友だちとに混ざって、集合場所で先生の話を聞きます。

 たけるにとっては何もかもが初めてでぎこちなかったけど、立派に入場を終え、園児たちは順に椅子に座りました。

 でも、式が進み始めると、たけるが後ろをふり返り始めました。その顔は、もういっぱいいっぱい。たけるは無我夢中でみんなに合わせて入場したけど、本当はもう限界を超えていました。

 このままだと泣き始める。
 
 どうする?

 「絶対守る!」と言った前日の決意が試された瞬間でした。(文・絵 斎藤暁子)

■著者略歴/(さいとう・あきこ)『HSC子育てラボ』代表。心理カウンセラー。息子たける(9歳)と精神科医の夫は、ともに敏感・繊細気質。その気質がHSC、HSPであることを知り、情報発信の活動を開始。2018年にはWEBサイト『HSC子育てラボ』、19年には、オンラインコミュニティ「HSC親子の安心基地」 を立ち上げ。共著に『ママ、怒らないで。』(風鳴舎)、小冊子絵本『敏感な子の守りかた絵本』(アート印刷)。19年7月8日に新著『HSCを守りたい』(風鳴舎)を出版。

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