不登校新聞

513号 2019/9/1

学校へ行けない僕の心を救ったお父さんの一言

2019年08月30日 14:38 by kito-shin
2019年08月30日 14:38 by kito-shin















 

【解説】お父さんの言葉はなぜ救いになったのか

 連載「学校に行けないみんなのキモチ」では、当事者の経験談を漫画化してお届けします。今回は不登校の男の子の心を救った「お父さんの一言」を漫画化してもらいました。この話、もちろん実話です。

 不登校の人のなかには「学校へ行けないなら、せめて働かねば」と焦る人も多いです。私自身も不登校中は「バイトをせねば」という焦りは強いものでしたし、今回、漫画で登場した男の子そうでした。

 しかし、男の子の場合は問い合わせても働き口がありませんでした。ふつうならば、ここで「だめならしょうがない」と思うものですが、男の子の場合はよけいに焦っています。なぜなら男の子が焦っていたのは「働かなければ親に認めてもらえない」と思っていたからです。働くという結果だけが必要だったんです。

 焦る男の子に対して、周囲は「焦らなくてもいいんだよ」や「やれる範囲でいいんだよ」と言っても焦りは深まるばかりです。ところが男の子のお父さんは、本人が感じている真意を掴んで、親の本心を伝えました。その言葉で男の子の気持ちは楽になり、自分なりに歩んでいくことができたそうです。

 不登校にかぎらず、お父さんが子育てのなかで「救いになる場面」は残念ながら聞くことが少ないです。でも、子どもに親自身がどんな思いでいるのか、それをていねいに伝えると状況はよくなっていくことわかるエピソードでした。(『不登校新聞』編集長 石井志昂)

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【漫画作者・棚園正一】1982年生まれ。名古屋市在住。小1より不登校をし、義務教育期間はほとんど学校へ通わなかった。漫画家として、『学校へ行けない僕と9人の先生』(双葉社)、『マジスター 見崎先生の病院訪問授業』(小学館)などを執筆。

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