不登校新聞

514号 2019/9/15

苦しさの根本は親の過干渉 親への「NO」が生きやすさへの一歩だった

2019年09月11日 14:06 by kito-shin
2019年09月11日 14:06 by kito-shin

 ゆりなさん(25歳)は子どものころから他人との距離感をつかめないなど、ずっと生きづらさを抱えていた。24歳のとき、職場でのトラブルをきっかけに3カ月ひきこもった後、自分の生きづらさと向き合い始めたという。

* * *

 私はなぜこんなにも生きづらいのだろう。それを何年もずっと考えている。そして最近わかったことがある。私の生きづらさの根底には母の過干渉がある、ということだ。

大切にされてる?監視されてる?

 私が外出しようとすると、母はかならず私の身なりや荷物をチェックした。服に綿ぼこりは付いていないか。靴に汚れは付いていないか。雨の予報があれば、折り畳み傘は持ったのか。

 私が玄関で仕度をしていると、その音を聞いて、かならず母親が顔を出した。

 私は今までこうしたことを「母から大切にされている証」と受けとめる一方、どこかで、「監視されているようだ」とも感じていた。

 多少の違和感がありつつも、「母といっしょなんだから、居心地がいいはずなんだ、そう感じるべきなんだ」と思っている自分がいた。

 1年半前から私はときどき、不登校・ひきこもりの当事者の会へ参加するために1人で東京へ外出し、数日家を空けるようになった。

 するとしだいに、「母のルールのなかで生きるのはイヤだ」と思うようになった。

 私が東京に行くたびに、母の機嫌は悪くなり、けげんそうな顔で私を見つめた。「何時に帰るの?」「東京のどこに行ってるの?」「ちゃんとしたホテルに泊まってるの?」。

 私は自らのやりたいことのために行動しているのに、母の言葉は、それを打ち消すように私に否定の眼差しを向けた。そのころから母の口調が「私を責めるもの」に変わり始めた。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「親子関係は?元気になったきっかけは?」3人の経験者が語る私の不登校とその後

625号 2024/5/1

「40代で人生2度目のひきこもり」ひきこもり経験者が語るふたたび動き出すまでの出来事と気持ち

624号 2024/4/15

「30歳を目前に焦っていた」就活失敗を機に大学生でひきこもった私が再び動き出すまでに取り組んだこと

623号 2024/4/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…