不登校新聞

514号 2019/9/15

校舎を見て突然、不安がるHSCの息子。母にできたことは

2019年09月26日 14:03 by shiko



連載「わが家が目指したのはHSCの安心基地」vol.5

 入園から2週間が経ち「慣らし保育」から通常保育に変わりました。

 慣らし期間は12時まででしたが、今日からは14時降園、時間はたっぷりです。慣らし期間は控えてあった『朝の活動』が始まりました。

 内容は、園庭にある植物の水やりをします。こういう作業が大好きな息子のたけるは、はりきってやりとげて、「楽しかった」と報告にきます。

 でも、変化は次々にやってきます。そのひとつが給食です。

 「これから小学校の校舎へ牛乳を取りに行きます」と先生。顔を曇らせ、助けを求めるような雰囲気で私を呼ぶたける。

 いっしょに校舎へ向かいながら、私の手を握りしめます。その強さと重たい足取りが印象的でした。

 身体測定も保健室のある校舎への移動が必要でした。ここでもあきらかにゆとりをなくして、苦痛なようす。

 結果、どの検査もつきっきりです。でもこれは想定内。気になったのは『校舎』へ行く際のたけるの反応です。

 ママがいっしょで、しかも手までつないでいるのにどうしてだろう。ママの手を強く握りしめる手。


 重たい足取り。

ママがいるのに不安(苦痛?)な表情……。

 これは初めてじゃない……。

 以前、初めて行った大きなショッピングモールの長いエスカレーターで移動中、吹き抜けの階下で行なわれているイベントで、大音量の歌や音楽が始まったとき。

 そのときの反応や表情ととてもよく似ていることに気づきました。抱っこしても表情は変わらずなんとも言えない渋い表情。

恐怖? 苦痛? 不快?

感じたのは無力感かな?

 それもあるけど、たぶん「抵抗不可能」なことへの「無力感」のようなものに感じられました。耐えがたいような苦痛なのに逃れられない……、「抵抗不可能なのはイヤだよ」「つらいよ」といった無力感です。

 たけるは、校舎に行くこと対して、そのような「抵抗不可能」な感覚を感じたのかもしれない。

 「でも、いずれは慣れて平気になるだろう」、そう思う一方で、本人にしかわからないであろう、この苦痛を伴う感覚は「いずれは慣れる」だけですませなくなるかもしれません。

 自分を守れるだけの言語力や表現力を持たない今の時期、たけるのような気質の子はとくに安心で安全と感じられる基地や、どうしてもダメなときはいっしょに「回避」を選んでくれる存在が必要と、あらためて思いました。

 とにかく今、私にできることは、園も校舎もどの先生も安全だ、安心だ、とたけるが感じるようになるまで、たけるの安心の基地でいること。(文・絵 斎藤暁子)

■著者略歴/(さいとう・あきこ)『HSC子育てラボ』代表。心理カウンセラー。息子たける(9歳)と精神科医の夫は、ともに敏感・繊細気質。

■HSCとは……「Highly Sensitive Child」の頭文字を取った「HSC」は、心理学者エレイン・N・アーロン氏により提唱された概念。「ひといちばい敏感な子」「とても敏感で繊細な子」などと訳されている。HSCは障害や病気の名前ではなく、生まれもっての気質。

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