社会評論家・芹沢俊介
子ども若者をめぐって2019年はどんな年だったのであろうか。社会評論家や本紙代表理事が1年間のトピックスを執筆した。
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6月1日(2019年)、東京都練馬区で、76歳の元農水事務次官だった男が、長年ひきこもった状態にあった44歳の息子を、包丁で殺害するという事件が起きた。
父親の語った動機は2つ、1つは家庭内暴力の恐怖からの自己防衛である。
息子は駒場東邦中学時代、いじめを受け、それがきっかけで不登校になり、家で妻に暴力をふるうようになった。父親自身も殴られた。
5月25日土曜日、10年以上前から別宅で一人ひきこもって暮らしていた息子が、電話で体調不良を訴え、「戻りたい」と言ってきた。
ところが戻ってきた翌26日から、ふたたび家庭内暴力が始まった。「俺の人生はなんなんだ」と叫びながら、殴りかかってきた。このままでは殺されるという恐怖で思わず、包丁を手にし、息子を目がけ突進した。
父親が挙げた2つ目の殺害動機は、社会防衛とでも呼ぶべきものであった。
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