不登校新聞

522号 2020/1/15

家族全員が明るくなった義務教育の「義務」の意味

2020年04月16日 13:32 by kito-shin

連載「わが家が目指したのはHSCの安心基地」vol.13

 息子のたけるの心が幼稚園から離れ、もう元には戻らないことを感じたとき、私は、ふつうとはちがう、何か別の方法を模索しようとしていました。

 そんなとき、取り寄せていた本が届きました。ホームスクールで子どもを育てている方の本でした。

 その本には、学校へ行かない選択をしたいきさつや、その後の生活について綴ってあります。

 目から鱗でした。

 1ページ、1ページと開くたびに触れる、これまで概念になかった考えや生き方に、希望が満ちてきます。

 むさぼるように、一気に読み進めました。

 そして私は夫に伝えました。

 「パパ! 私ね、たけるはもう幼稚園に行かなくてもいいと思った。幼稚園だけじゃない。たけるが進むのは、学校という道じゃないかもしれないって思ったの」。

 夫の目がとっても大きくなりました。そして、真剣ななかにも安心したような表情になりました。

 夫はすぐに、教育の制度について調べ始めました。

 次に取り寄せた本には、弁護士さんの解説で、次のように記載されていました。

 「義務教育の『義務』は、子どもの学ぶ権利を保障するおとなの側の義務の意味であって、子どもが学校に行く義務ではありません。親の就学義務も、子どもの学ぶ権利を親として援助する義務であり、登校を強制することが子どもの心を傷つけるような場合に、むりやり学校へ行かせる義務ではありません」

 「子どもの学ぶ権利は、学ぶ場と学ぶ方法を選択する自由を含んでいます。子どもにとって何が最善であるかを、親が子どもとともに考えて、選択すべきです」※『子どもは家庭でじゅうぶん育つ』より(P47、P51)引用

 子どもを無理に学校に行かせなくても法律違反ではないことがはっきりとわかったことで、安心してたけるにも伝えることができました。

 「たける? ママとパパね、たけるは幼稚園や小学校へ行かない道を選んだほうがいいのかなって考えてるの」。

 たけるは輝くような表情で、「そう!」と言いました。まるで「やっとわかったんだね」と言わんばかりの表情です。

 自分でも不思議なほど、喜びが私の身体中を駆け巡ります。私だけじゃなく、家のなかの空気がパッと明るく、解放されたようになりました。

 どうして今まで気がつかなかったのだろう。いったい何に縛られていたのだろう。いや、自分を縛りつけていたのだろう。

 道がないとわかった瞬間、目の前に現れたのは、自由で明るく、家族みんなが笑顔になれる道だったのでした。(文・絵 斎藤暁子)

■著者略歴/(さいとう・あきこ)『HSC子育てラボ』代表。心理カウンセラー。息子たける(9歳)と精神科医の夫は、ともに敏感・繊細気質。著書に『HSCを守りたい』(風鳴舎)など。HSCとは/「Highly Sensitive Child」の頭文字を取った「HSC」は、心理学者エレイン・N・アーロン氏により提唱された概念。「ひといちばい敏感な子」などと訳されている。HSCは障害や病気の名前ではなく、生まれもっての気質。

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