不登校新聞

522号 2020/1/15

「不登校の原因もよくわからない」そんなときにできる確実な方法

2020年01月14日 12:17 by kito-shin

連載「児童精神科医に聞きました」vol.16

【質問】中学2年生になる娘が、昨年の夏から不登校になりました。友人関係でいろいろあったようですが、反抗期も重なっているからか、イライラすることも多く、母親の私が聞いても何も答えてくれません。なんとか娘を支えたいと思っているのですが、不登校の原因もよくわからないなかで、どんな言葉をかければよいのかと日々悩んでいます。子どもへの声がけで気をつけたほうがいいことなどはあるのでしょうか?

* * *

 何をしていいかわからないときは何もしない――

これが大原則です。ひょっとしたら、昔の偉い哲学者あたりが、こういうことを言っているかもしれませんが、何もしないで、あなたは自分の趣味を楽しんでください。

 そして、もし、あなたの趣味に娘さんが多少の関心を示してくれるようなら、「いっしょにやってみないか」と誘うといいでしょう。

 では、あなたが趣味を持っていないなら、どうすればいいでしょうか。もちろん新しく趣味を見つければいいのですが、最も確実で手っ取り早い見つけ方は、娘さんの趣味を娘さんから直接、習うことです。

 中学生なら、漫画や音楽やゲームなど、少なくとも1つか2つの趣味を持っているはず(持っていないなら、そうとう心配)です。

どんな漫画がおすすめか、1曲だけ聞くとしたらどのアーティストの音楽がいいか、ゲームの初歩的な楽しみ方等々、尋ねれば喜んで教えてくれるでしょう。

友人関係が変わる過渡期

 ところで、あなたのご質問には、「友人関係でいろいろあった」と書かれています。

 中学生が境目なのですが、それ以前の年齢だと、たくさんの子どもどうしで表面的にワイワイ騒いでいるのが、望ましい友人関係でした。

 しかし、この年齢以降は、共通の趣味や同様の考え方を持つ少数の人と固い信頼関係を結ぶのが、本当の友人関係になります。

 あなたの娘さんは、両者のあいだの過渡期にいるのですから、悩まないほうがおかしいのです。

 いま「共通の趣味や考え方」と言いましたが、そのうちの「趣味」に関しては、さきほどの方法、つまり、あなたが娘さんに教えてもらう方法が、それなりに役立ちます。趣味を介したコミュニケーションの練習になるからです。

 しかし、「考え方」に関しては、あなたが直接的にできる方法は、基本的にありません。

 あるとするなら、この連載でくり返し申し上げているように、不登校が悪いことであるかのような誤解を、まず大人たちが払拭することです。

 そうすれば、間接的に、娘さんの考え方に柔軟さをもたらし、自分なりの価値観を確立することへ、向かいやすくなるでしょう。

 こうやって考えてくるなら、「子どもへの声がけで気をつけたほうがいいこと」といった、肩の凝りそうな留意点は、まったく不要になります。

 以上を参考にしつつ、自然に出てくるあなた自身の言葉だけを、大事にしてください。(つづく)

【プロフィール】
(たかおか・けん)1953年生まれ。精神科医。岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター・児童精神科部長。著書に『不登校・ひきこもりを生きる』(青灯社)、『引きこもりを恐れず』(ウェイツ)など多数。

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