真下麻里子さん
文科省は2018年4月、試験的に「スクールロイヤー」を導入すると発表した。同省が現在想定しているのは、各自治体からの依頼により、弁護士が派遣されるというもので、子どもや保護者が依頼する・相談できるというものではない。「スクールロイヤー」とはどういった制度なのか。現状の課題や今後の展望などについて、NPO法人「ストップいじめ! ナビ」スクールロイヤーチームのメンバーであり、同法人の理事でもある真下(ましも)麻里子弁護士にお話をうかがった。
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――「スクールロイヤー」とは、どういうものなのでしょうか?
一言でいえば、教育現場に関わる弁護士です。先日、文科省は、全国に「スクールロイヤー」を300人設置することを目指す旨を発表しました。
そこで想定される「スクールロイヤー」は「学校でトラブルが起きた際、校長が直接、または教育委員会を通して相談できる弁護士」です。自治体から依頼を受けて弁護士会から派遣されることが予定されています。
一方で、弁護士でありながら私立学校の先生として働いている人もいれば、弁護士登録をいったんはずして教育委員会の職員として働いている人もおり、教育現場に関わる弁護士はじつは多様です。
私のように、個別の学校から個人的に依頼を受けている弁護士もいるでしょう。ですから、こうした弁護士も広い意味で「スクールロイヤー」と呼ばれることもあるかもしれません。
導入の課題は顔が見える関係
――「スクールロイヤー」を導入するうえでの課題について、予算や弁護士の数など、さまざまな指摘がありますが、真下さんはどうお考えですか?
私は、人権や手続保障という法的視点を学校に浸透させ、今よりも個人が尊重される寛容な場に変えていくために「スクールロイヤー」があると考えています。
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