不登校新聞

528号 2020/4/15

死にたい子にと言う「死ぬな」と諭すのが逆効果の理由

2021年04月20日 18:40 by kito-shin


執筆者・さゆりさん

 苦しい気持ちから「死にたい」と口にする不登校の子どもは多い。しかし、その言葉の裏側にある子どもの本音とはなんなのだろうか。不登校経験者のさゆりさんに書いていただいた。

* * *

 「死にたい」 。自分の子どもにそう言われたら、みなさんはどのように答えますか?

 多くの親御さんは「そんなこと言わないで」とか「生きたくても生きられない人がいるんだから、命を大事にしなさい」というふうに、口にするのではないかと思います。でも少し待ってください。「死にたい」という言葉の裏には、口にはできていない本当のメッセージがあるんです。少なくとも私の場合はそうでした。そのことについて書きたいと思います。私が「死にたい」と本気で思ったことはこれまでに3度あります。

 小学5年生のときにいじめられ、別室登校をしていたとき。それから中学3年生のときに、進路問題や学校で自分の素を出せないことから苦しんで不登校になったとき。最後は、専門学校生のときに、入学から2週目で行けなくなってしまったときのことです。そして私は3回目にして初めて、「死にたい」という言葉の裏に潜む、自分の本当の気持ちに気づいたのです。

苦しかった2度目の不登校

 私は美容系の専門学校に進学したのですが、入る前に抱いていたイメージとのギャップと、女子どうしのギスギスした関係についていくことが精いっぱいでした。「まわりの望む自分」になろうと無理をしすぎたせいで、精神的に追いつめられ、私は中学に続いて人生で2度目の不登校になりました。またしても不登校になってしまったことで、私はどうしたらいいかわからず、自分の部屋で泣きじゃくっていました。

 そして勢いでリストカットしてしまったところを父に見つかったのです。父は「何やってるんだ!」と止めに入りました。私は泣きながら「私は人に迷惑しかかけていない……死んだほうがマシかも」と言いました。すると父はパニックになりながら、「死なれたら困る! 家族が悲しむ! 頼むから死ぬな!」と何度も言いました。そのとき私は、自分が抱え込んできたつらさが、すべて否定されたような気がしたのです。なぜなら「私が苦しいなかで必死に出した選択まで否定されてしまうのか、私の最後の意志さえ、つぶされてしまうのか」と思ったからです。

 今では父の気持ちもわからないわけではありません。しかし当時の私は家族からの「死ぬな」という言葉を、「自分への否定」として受け取ってしまったことは事実です。そして、父とのやりとりのあと、私は自分が本当に望んでいたことがなんなのかが、わかりました。「ああ、私は本気で死にたいと思っていたわけじゃないんだ。今のつらさをただ受けとめて、どうしたら楽になれるのかを教えてほしかったんだ」と初めて気づいたのです。「死にたい」という言葉は、つらさに耐えて耐えて、どうしようもなくなった私からのSOSだったのです。

“死にたい”は最後の砦

 そして次の日、母に自分の抱えてきたつらさをぜんぶ話しました。そしたら、おどろくほど気持ちがスッキリしたんです。もちろん、私の体験談がすべての人に当てはまるわけではないと思います。ですが私にとっては「死にたい」と口にすることは、生きるための「最後の砦」でした。誰も助けてくれず、ひとりで暗闇の中をさまよいながら、どうにかして抜け出すために必死になって考えた、最後の選択肢だったのです。もしお子さんが「死にたい」と口にされても、その子の言葉の裏側にある気持ちを考えてみてほしいんです。「死なないで」と言うのではなく、子どもの本心に耳をかたむけて、話を聞いてあげてほしい、私は心からそう思います。(不登校経験者・さゆり・19歳)

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