『学校へ行けない僕と9人の先生』棚園正一著/双葉社
2020年3月22日、愛知県岡崎市にて「棚園正一講演会in岡崎~不登校の子どもの気持ちを考える~」が開催された。主催は「岡崎子ども応援委員会」(代表・箱川香織さん)。当日は有料の講演会を開く予定だったが、新型コロナウイルス感染予防のため、ツイッター等の無料で視聴できるネットサービスでの配信を行なった。講師を務める漫画家・棚園正一さんの講演会形式から進行役の木野村聡さんを交えてのトークセッションに形式を変更して開催した。抄録として掲載する。(編集・小熊広宣)
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僕は小学1年生のとき、担任の先生にビンタをされたことがきっかけで不登校になりました。
小学校は行ったり行かなかったりという感じでしたが、中学校にはほとんど通っていません。その実体験をまとめた漫画『学校へ行けない僕と9人の先生』(双葉社)を2015年に出版しました。
学校へ行かなくなってから、僕の家には両親が頼んだ家庭教師やカウンセラーの人たちが来るようになりました。
国語や算数などの勉強をするだけではなく、近所の公園に遊びに行ったり、ドライブに連れて行ってもらうこともありましたが、それでも僕の心のなかは不安でいっぱいでした。
そういう時間を僕がすごしている間に、友だちは学校にいます。教室で授業を受け、休み時間にはみんなで遊んでいるんだろうなって思うと、自分とみんなの世界がどんどん離れていくような気持ちになって、不安で不安でたまりませんでした。
不登校の特効薬を探しても
漫画を出版したことで、講演会の講師として声をかけていただく機会も増えました。講演会には親御さんだけでなく、祖父母世代の方も見えられます。
僕は不登校の専門家ではありません。ですから、みなさんの悩みに対して具体的なアドバイスを返すなんてことはできないんですが、お話をよく聞いていると「特効薬」を探しておられるように感じることがしばしばあります。
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